あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 教本 

 

アルフレッドピアノライブラリー 基礎コース レッスンブック レベル3

      W.A.パーマー/M.マニュス/A.V.レスコー編著  田村智子訳   全音楽譜出版社

3冊目で高評価となった、アルフレッドの4冊目(レベル3)を検討してみることにする。基本的に楽典的説明があって それに関係する曲という配置になっている。作曲者の名前が記されていないが、ほとんど編著者3名のものであろうと思われる。

曲名 難易度 評価
ウマい馬  4  
そびえる山  4  
フェスティバルマーチ  4  
アルプスのメロディー  4  
ワルツパントマイム  5  
ニコッ、ガクッのブルース  5
ローマ時代の休日  4  
プレリュード  4  
村のダンス  4  
貨物機関車  4  
ウィーンでの一日  5  
魅惑の町  4  
決めなさい  5  
メージャー将軍とマイナー君  4  
グリーンスリーヴズ  4
ファンダンゴ  4
行け モーゼス  4  
インテルメッツォ  4  
スカボローフェア  4
ママのこもりうた  4  
狩りのうた  4
ラ・ラスパ  5  
スケルツオ  4  

○ウマい馬 34の拡張があり、私はお勧めできない。

○そびえる山 右手の拡張ポジション(8度ポジション)の練習。この本を使う年齢層は日本では小学2~3年 くらいが一般的だと思うが、この歌詞は何となく年齢にそぐわないような気がする。

○フェスティバルマーチ ト長調とニ長調の8度ポジション。

○アルプスのメロディー 導音の重複があって、敏感な生徒は濁って感じるだろう、不可。

○ワルツパントマイム 12のクロスの練習。いい曲だが、強引に12のクロスを使っている(普通は他の指を使う)。 準推薦というところ。

○ニコッ、ガクッのブルース これも12のクロスの練習だがこの方が不自然な指になっていない。

根本的な疑問としては、12のクロスはクロスの中では13ほど重要ではない。最初に2曲も与える必要があるのか ということ。この配列では生徒は結構12のクロスの印象が大きく、13、14のクロスを使うべきところまで12で 片付けてしまいはせぬか・・取り越し苦労ですかね。

○ローマ時代の休日 13のクロスの練習。旧版のワルツを4拍子に変えたもの、私は「ワルツ」の方が好きだが これはまあ個人的好みだろう。単純だがそれなりに美しい、準推薦。

○プレリュード スケールの練習。曲らしく作ってある。

○村のダンス 半音階の練習。

○貨物機関車 ヘ長調の練習。ここら辺すべて曲としてもまずまずの出来。

○ウィーンでの一日 これも導音を重ねているのが気になる。易しく単純にするためにしているのだろうが・・ それが無ければ推薦に値するが。

○魅惑の町 イ短調の練習。中間部の繰り返しはつけること。

○決めなさい 長3度と短3度の違いの練習。さすがにこれは曲としてはいまいちかな。

○メージャー将軍とマイナー君 長調と短調の練習。単純だが子供は好きだろう。

○グリーンスリーヴズ アメリカ系教本の常でペダルの導入が早い。右ページ3段目右最後3とあるが、普通の子供は 2が良い。なおペダルの説明は適切である。

○ファンダンゴ 単純ながら優れている。繰り返しはつけるべき。

○行けモーゼス 短調の主要3和音が出てくる。

○インテルメッツォ これも上と同じ練習。

○スカボローフェア ニ短調の練習。

○ママのこもりうた これは旧版にもあった。そのときは確かホ短調。

○狩りのうた これも旧版にあったし、トンプソンにもある。民謡か何かでしょうかね。8分の3拍子の練習。

○ラ・ラスパ これも導音が重なる。8分の6拍子の練習。

○スケルツオ これも8分の6。ホロヴィッツに敬意を表してとあるが、あと十年もすればホロヴィッツも過去の 優れたピアニストの一人程度に納まってしまうのだろう。

総合評価    B+

難易度は見事にそろっている。基本的に4。5とあるものも4に近い5であると思っていただければいい。

特色としては、この巻の課題であるクロスとか、長調短調の主要3和音であるとかを非常に単純な曲によってマスターさせようとしていること。そしてその単純な曲が平均してそれなりの水準を保っているということが挙げられる。推薦マークが少ないにもかかわらず、評価がそこそこ高い理由である。

ただし欠点としてもまずその単純さが挙げられる、音楽にある種の深みを感じさせるようなものがほとんどない。基本的に軽い、まあこれはアルフレッドのスタイルである。

もっと大きな欠点としては、Ⅴの和音の導音を平気で重複させている。単純さを優先させた結果だろうが、私は賛成できない。

ほとんど右手がメロディで左が伴奏、そして対位法が全く無い、ここら辺も欠点に数えることが出来るかもしれない。

レベル5、6程度で微妙に躓いている生徒には良い。

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