あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 教本 

 

スオミ・ピアノ・スクール 1

       著者 リトヴァ・レヒテラ/アニヤ・サーリ/エーヴァ・サルマント-ネウヴォネン

              監修 館野泉  訳・編 坂井百合子 久保春代          ヤマハ

 

作曲者欄が空白のものは著者の作曲

曲名 作曲者 難易度 評価
アーアー、ヘイッキ テグナー  3  B
チューリップ 井上武士  3  A
ぞうさん 團伊玖磨  4  B
夕やけ  3  B
雨がふる フィンランド民謡  3  C
子もりうた オルフ  3  A
こおりの上で Op.89-18 カバレフスキー  4  C
わになっておどろう フィリップ  4  B
ジェットコースター  4  B
ぞうさんのたび フィンランドの子どもの歌  3  C
水すまし  4  C
むきゅうどう  4  A
としよりねこ アメリカ民謡  4  B
リーサの子もりうた フィンランド民謡  4  A
小さなおどり グルリット  3  C
かわいいハリネズミ カバレフスキー  3  B
スケルツオ Op.39-12 カバレフスキー  3  C
サーカス団のパレード イタリア民謡  4  A
ラトヴィア人のポルカ ズィリンスキス  4  B
ボートのうた  5  C
しまうまのおどり  4  C
ミンカ ロシア民謡  5  A
ありづか デュベルノワ  5  C
かがみ ヴェスマン  6  C
くうそう キルピオ  6  B
かなしい鳥 エンゲル  5  A
うずまきキャンデー 湯山昭  6  B
ためいき グルリット  4  C
きり ヴェスマン  4  C
ダンス リュリ  4  B
むかしのおどり テレマン  5  B
あわれな音楽家 テレマン  4  A
リュートひき J.C.F.バッハ  5  B
リコーダー ヴィットハウアー  5  B
いなかのおどり モーツアルト  5  B
夕方のうた 中田喜直  7  B
メヌエット モーツアルト  5  B
メヌエット ハイドン  5  A
草原で フレイ  6  B
ソナチネ テュルク  6  C
赤ちゃんぞうのブルース サルマント  5  A
おやすみ 赤ちゃんぞう サルマント  6  A
おやすみなさい 壁真理子  5  A

最初に漫画による、前巻の復習がある。

○アーアー、ヘイッキ ポジションの移動あり。訳詞があるが、曲に当てはめようと思えば出来ないこともない。

○チューリップ この本は原著者の、日本版を出す時は日本の歌、日本人作曲家の新作を入れてくれという要望を 入れて、ちょくちょく日本の曲が入っている。壁真理子さんの編曲。絵が笑ってしまう。

○ぞうさん 同じく壁真理子編曲。これは子どもは喜ぶが、教材として適しているかどうかはなんとも言えない。 この段階では、まだ不規則と言える指使いになる。(この本を使っていくのなら、これ1曲だけなのでさほど問題ではない。 こういうのばかりを使うと、指使いの基本的パターンの習得が出来なくなり、伸び悩む危険がある)。

○夕やけ ppとmf登場。12のクロス登場。7度の動きがある。左メロディ、右はすべて同一音型。

「ピアノのためのものがたり」というお話があり、その右側に現代音楽で使われている記譜法の説明がある。話にあわせて 即興的に音楽を作るということでしょうか?

うでの力をぬきましょう」とあって脱力を体感させている。

○雨がふる ト長調の調号が初登場。左の指使いは指の硬直化を防ぐためだろう。

○子もりうた オルフにこんな曲があったんですねえ。

音符と休符の長さの説明。

○こおりの上で 長さの関係をちゃんと把握すること。難易度4に修正。(閻魔帳142)

「作業のページ」ドリルみたいなもの。音名と譜面を結びつける。

○ゆめのくにぐにで 即興演奏の練習。

○わになっておどろう 付点四分音符、テヌート登場。

ヘ音記号下部加線のCからト音記号上部加線のCまで、4オクターブの音の整理。

○ジェットコースター スケールの練習曲。

「作業のページ」、作曲の練習です。

音程の説明があります。

○コッ、コッ、コッ、コッ これは曲とは言えないと思う。保持音の練習。

重音のレガート奏法を丁寧に説明している。これは普通教師に委ねられている部分、教本に書かれているのは珍しい。

○ぞうさんのたび 重音の練習。

「半音上がった音」と「半音下がった音」でシャープとフラットの丁寧な説明がある。臨時記号=黒鍵の誤解を取ること。

○水すまし 跳躍の練習でしょうか。

○むきゅうどう 半音的進行をうまく使っている。

○としよりねこ 8分の6登場。装飾音登場(複前打音)。

○リーサの子もりうた ト短調。mp登場。しみじみ歌う。

○小さなおどり 8分の3登場。

「さぎょうのページ」音名を入れると作曲家の名前になるのだが、フィンランド表記のせいだろう、通常の日本での 表記とシューベルトが異なる。後リズム課題と読譜と、作曲と。

三和音及び転回形の説明。

○かわいいハリネズミ Op.89-8 ほとんど対称形で易しい。

○スケルツオ 編者はカバレフスキーを高く評価しているのかな。

和音の練習 ハ長調とト長調の和音の練習がある。

「そっきょうのワルツ」ワルツ形の伴奏が記されていて、メロディーを作曲する。

○サーカス団のパレード 連弾 secondも難易度同じ。前半と後半で役割を変えている。

さぎょうのページ 長三和音と短三和音の区別が問題でいきなり出ている。伴奏付けに移調。

○ラトヴィア人のポルカ 伴奏形のアーティキュレーションを3種類示して、選択させている。面白い試み。 手が小さいとやや苦しい。

ペダルの練習 この説明どおりでは普通の曲はたいてい濁る。先生による修正が必要。

○ハープひき ペダルの練習、曲とは言えないと思う。

○ボートのうた ペダルの練習。和音の転回形の練習にもなってる。

「おばけのはなし」 課題つき即興演奏の練習。

さぎょうのぺーじ 伴奏付け。付点8分音符が登場している。

○しまうまのおどり これも曲とは言いがたいかもしれない。

○ミンカ 6度の練習曲に編曲している。

「キリンの朝のたいそう」 指の独立のための体操。さらに「しゃくとりむしがれんしゅう中」としてハノン的練習1題。

○ありづか これは元々練習曲だと思う。この本は保持音の練習が多い。指の独立に意を払っているのだろう。

○かがみ ピアノの鍵盤の鏡映について教えている曲。曲とは少々言いがたい。

「いろいろなタッチをよくききましょう」 たとえがあまりいいとは思えない。

○くうそう ペダル必須。

○かなしい鳥 多分に感傷的。

○うずまきキャンデー あまり湯山さんらしくない。

○ためいき ポジションの移動がない。

○きり 書法は現代、どうってことないと思う。

○ダンス 連弾 secondは難易度5。

○むかしのおどり アーティキュレーションの指示が一切ない。生徒に考えさせるのだろうか?

○あわれな音楽家 半終止で終わっている。2分の3拍子。

○リュートひき 少なくとも第3節以外はスタカートが中心でしょう。

○リコーダー リズムに乗って。これは基本的にレガート。

○いなかのおどり 原曲はなんでしょうね、ちょっと解りません。

○夕方のうた 湯山昭に中田喜直、少し前までの子ども向きピアノ曲の代表的作曲家2人を選んでますな。

○メヌエット これ、ヘンレの原典版には収録されてないんですよね。K.1となってる本もあるし。よく解らない。

○メヌエット こちらはさすがに大人の作品という感じ。良く耳にする。

○草原で 年代は近代だが、書法は古典的。

○ソナチネ 三楽章で1ページという非常に短いソナチネ。曲そのものはどうってことない。

○赤ちゃんぞうのブルース ブルースとなってますが八分音符のリズムどうするんでしょうね。教本で何も指示が ないということは普通に弾くのでしょうが、個人的にはスイングする方がずっと面白いと思う(4段目だけスイングなしでもいい)。

○おやすみ 赤ちゃんぞう 前の曲から続けてもいい。

○おやすみなさい パッヘルベルのカノンを一瞬思い出した。

最後に音階と三和音とカデンツがある。ここはなかなか工夫されていて類書のものよりもいい。

総合評価   B

いい本なんですがね、子どもの受容度を考慮に入れるとBかな、という感じ。

特に前半、練習曲的なものが多く、あまり喜ばれない可能性が強い。この本だけで進めるのはやや危険。

伴奏付け、作曲などは段階を追っているわけでもないので、相当出来のいい子ども以外お手上げになる可能性がある。

優秀な子どもで入門から2冊同時並行で進めていく先生には、ぴったりかもしれない、お勧め。

教師の側の工夫がある程度要求される。

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