あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 教本 

 

新しいメトードローズ 2上 ヴェルド   音楽之友社

☆1

曲名 作曲者 難易度 評価
ともだちといっしょ マイヤール=ヴェルジュ  4  C
子守歌 シューベルト  4  B
合唱 メユール  5  B
カリヨン(鐘)  5  B
むかしむかしあるところに ヴェルド  5  C
しずけさ マイヤール=ヴェルジュ  5  C
アンダンティーノ クレメンティ  5  C
オーベルニュのブーレ ヴェルド  5  B

同じ長さの音符を弾く。 短いハノン的練習3題。

リズムをつけて弾く。 上の課題の5種類のリズム変奏。

タイのついた音符を弾く。 保持音の練習、リズム変奏あり。

○ともだちといっしょ 保持音の練習。

○子守歌 中間部をマイナーに変えるという妙な編曲をしている。やりすぎじゃねえの。

和音とカデンツの説明がある。

○合唱 教会の聖歌隊などを聞いたり歌ったりした経験があるといいのだが。

ト音記号、ヘ音記号上部加線の読譜練習がある。

ペダル記号の説明がある

○カリヨン(鐘) 耳なじんでいるメロディーと少し異なる。

○むかしむかしあるところに 途中に出てくるanimatoはテンポを速くする意味であると思われる。

ハ長調とイ短調のハノン的練習と、音階的練習+カデンツ。

○しずけさ 対位法的

○アンダンティーノ 実は二声

○オーヴェルニュのブーレ 8分の3拍子の16分音符の数え方。

☆2

子守歌 シャウルム  5  B
ロンド ディアベリ  5  C
水車小屋で ヴェルド編曲  4  B
光のたわむれ マイヤール=ヴェルジュ  5  A
アレグロ・モデラート  5  C
2/4と6/8の練習曲 シャルトロー  6  B
ヘ長調のアンダンティーノ シュタイベルト  6  B
クリスマスの季節に ベーア  5  B

レガート、スタカート、ポルタートの説明がある。(棒線の記号《テヌート記号》をポルタートとしている)

練習曲が1曲あるが、これが疑問点だらけ。まず8小節目左に指定のない音符がある(この曲はすべて指定があるので おそらく印刷が落ちたものと思われる・・多分レガート)。左の2小節目のスラーの終わりの音符にスタカートが記されている。 しかしここだけである。他のスラーの終わりには記されていない。ここだけ区別しろという意味か、他のところもこういう風に 弾けという意味か不明。(慣習的にはこの場合、つまりスラーの終わりが8分音符である場合、まず切る)

○子守歌 対位法的。教材としては良いと思う。

3分割のリズムの説明。 付点音符についてこういう説明の仕方もある。

○ロンド 8分の6拍子。難しくはないが8度ポジションがある。

ヘ長調とニ短調のハノン的練習とスケール的練習+カデンツ。

○水車小屋で 途中で左右の役割が交代。

○光のたわむれ ニ短調。対位法的。

○アレグロ・モデラート これは古典派調だが、微妙にやはり対位法的な箇所がある。

○2/4と6/8の練習曲 1拍を同じ長さにする。だから八分音符の長さは拍子によって異なってくることを解らせる。

○ヘ長調のアンダンティーノ この程度の曲としては珍しく(自由に弾く)カデンツがある。

○クリスマスの季節に ベーアはおそらくベールのこと。3小節4拍目のCはこれでいいのかな? Bのミスプリの ような気もするが。

☆3

2声のインヴェンション  6  C
アレクサンダーマーチ シャルトロー編曲  5  B
ポルカ ヴォルフ  5  B
びっくり ハイドン  5  A
青と黒で シャルトロー  5  B
船乗りの歌 シャルトロー編曲  5  C

ト音記号の上部加線、下部加線、付点四分、付点8分、16分音符の練習がある。

○2声のインヴェンション これは完全に対位法。面白くはない。

連打の練習。

○アレクサンダーマーチ 連弾。指使いが中途半端。連打の練習にもなっていないと思う。単に弾きにくいだけ、特に左。 普通の指なら難易度3。

○ポルカ 連弾。これは指使いの指示がない。正直編者がどの指使いを意図しているのかが不明。前曲と同じ指を想定 しているのかもしれないが、無駄に弾きにくくなるだけだと思う。

○びっくり これは指示通りの指でよい。

○青と黒で ブルースだが、こういうのはアメリカ系教本の方が出来がいい。スイングすること。

旋法の説明がある。次の曲はドーリア調だが、ドーリア調という言葉は出てこない。

○船乗りの歌 4段目の右最初の連打が3321となっているがいくらなんでもまずい。前の小節を4135として 4321にするべき。

☆4

北の橋の上で むかしの歌  6  C
鍛冶屋  5  C
かたあしとび  4  C
いつかきっと シャルトロー編曲  5  B
おおみそかの鐘  3  B
飛ぶようにかわいく シャルトロー編曲  5  B
メヌエット ラモー  5  A
鳥たちの目覚め ヴェルド  5  C

ト長調とホ短調のハノン的練習とスケール的練習とカデンツ。

○北の橋の上で 頻繁にポジションが変わる。対位法的。

強拍と弱拍についての説明があるが、フランス語の歌詞を歌わせるものだけに、日本の子供には無理(私にも無理)。 アルフレッドの旧版などはちゃんと日本語の歌詞を作って説明していた。ここはあまりにも不親切。

シンコペーションの説明

○鍛冶屋 曲とはいえない感じ。後うちというかシンコペーションの連続。

○かたあしとび シンコペの練習。バルトークを思い出させる。

○いつかきっと やっと曲らしくなる。

○おおみそかの鐘 オフビートの説明があるが、どうも意味のとりにくい説明である。

○飛ぶようにかわいく 曲そのものはいい。前の説明に強拍と弱拍が入れ替わることがあり、おそらく後半 を指しているのだろうが、あまりいい例とは思えない。

○メヌエット このアーティキュレーションは珍しい。4段2小節目の左212の指は論外(フランスの子供は そんなに手が大きいの?)、当然521。

○鳥たちの目覚め 練習曲っぽい。

☆5

のみのジャンプ  6  C
ファランドル マイヤール=ヴェルジュ  5  C
金のスリッパ アメリカのむかしの曲  4  A
エチュード(ハイドン風) シャルトロー  5  B
ト短調のテーマ モーツアルト  4  B
キャラヴァン  4  B
主がダニエルを救わなければ ゴスペル  5  A
5月のバラ  5  B
かわいいひなげし  4  B
リボンのダンス シャルトロー  5  B

まず両手の交替・交差として左右分割の練習がある。

○のみのジャンプ 手の交差の練習。これは結構難しい。速く弾くと至難。

○ファランドル これは左右分割。

○金のスリッパ 「黄色いリボン」ですな。交差のままで弾きつづけるのはそれほど困難ではない。連弾。

変ロ長調とト短調のハノン的練習とスケール的練習とカデンツ練習。

○エチュード 9~12小節のアーティキュレーションは初心者には理解しにくい。

○ト短調のテーマ 私はこの曲は知らない。

○キャラヴァン バイエルの60番みたいなもの。カノン。

○主がダニエルを救わなければ 連弾。中間部はsecondのみとなる。

○五月のバラ 拍子の交替として、変拍子の説明がある。

○かわいいひなげし 同じく変拍子。

○リボンのダンス 5拍子と7拍子の変拍子。

総合評価   C

私はあまり使いたくない本である。強拍と弱拍の箇所の説明、連打の練習のための楽曲があまりにもまずい。 この本のままで、生徒にその部分をうまく説明することの出来る日本の先生が果たしているのだろうか、疑問である。

もう一つ全体的に言えることは、1巻に比べてフランス色が強くなっており、そして私の見るところ、フランス人の感性が おそらく最も日本人の感性に遠いのである。日本の子供たちが喜ぶ曲があまりない。

子供たちの喜ぶ歌を思い出してみるといい。日本の子供たちの感性にストレート受け入れられるのは、まずロシア民謡とアメリカの曲である。前者の叙情性と、後者の軽さ。次にイタリア、スペインもいい。そしてドイツは少し堅い感じがするもののまあOK。しかしフランスの歌で日本の子供が好きなものってありますか? あの微妙な感覚は普通の日本の子供たちはなかなか共感することが出来ないようであると思う。

もちろんいいところはある。難易度がそろっていて1巻からさほど難しくなっていない、対位法に気を配って いる、等々である。

以前安川加寿子さんが日本にメトードローズを紹介したときに、この巻は紹介されなかった。そのときにはまだこの巻が出来ていなかったというのならともかく(その可能性は薄いと思う)、そうでないのなら、1巻だけを紹介するにとどめその次にはABCを推した安川さんはさすがの眼力をお持ちであったとしか言いようがない。

あと一冊だけだから、一応次も見ます。

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