あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 教本 

 

ゆめのミュージックトレーン ピアノ・エチュード 4  成田剛 著   音楽之友社

「ゆめのミュージック・トレーン」シリーズの最終巻です。このシリーズ、表紙はなかなか幻想的で良いんですがねえ。 特にこの4巻は、私好きです。

番号 曲名 難易度 評価
 1 公園で遊びましょう  5  D
 2 海をわたるそよ風  6  C
 3 やんちゃなポニー  6  C
 4 ドライブ  6  C
 5 元気な子ども  6  C
 6 星のまたたき  8  B
 7 子ねこの冒険  7  C
 8 銀色のめざまし時計  8  C
 9 小さな悲しみ  7  C
10 メキシコのお嬢さん  7  B
11 はるかなる星座  8  B
12 宇宙信号QHQ  8  C
13 おれはコワーイ オバケだぞ  8  C
14 おんぼろロボット 10  B
15 プラモデルの戦車  8  D
16 子犬よ ここまでかけておいで  8  D
17 空飛ぶハングライダー  8  C
18 海底の世界  8  C
19 じょうき機関車が走る  9  D
20 ロマンチックなアリア  9  C
21 朝の市場  8  D
22 戦うドラゴン  9  B
23 ねずみのカーニバル  9  C
24 ぶんさんわおん  9  C
25 風が そっと教えてくれた歌  9  B
26 さわやかな5月  9  B
27 フラミンゴのスキップ  9  C
28 ひばりは歌う 10  C
29 祭のパレード  8  C
30 ほうきに乗って空を飛ぶ魔女 10  C
31 タンゴで踊ろう  9  B
32 海に沈む真っ赤な夕日  9  C
33 大空に絵をかく飛行機雲 10  C

1.純然たるチェルニー的エチュード。

トレーニングの1がある。ハノン的なもの。

2.ややユニークな和声進行。

3.左手の練習にはなる

4.和音のスタカートの練習

トレーニングの2がある。ハノン31番。

5.Es Durの練習。これも和音のスタカート。

6.中田喜直の「エチュードアレグロ」に似ている。

7.3連符のエチュード

トレーニングの3がある。ハノン18番。

8.3連と8分を合わす練習。これなどもチェルニー100番の影響を感じる。

9.4声体のコラール。ところどころ微妙な音がある。

10.装飾音の練習。シェリト・リンドに似ている。

トレーニングの4がある。左の保持音の練習。

11.これも純然たるエチュードで速さにより大分難易度が異なる。曲としてのできもまあまあ。

12.面白いと思うか、ただの思いつきと感じるか微妙なところ。

13.半音階の練習。3段2小節目右に指使いの誤りがある。

トレーニングの5がある。ハノン7番。

14.チェルニー30の5番のもじり。割と面白いが。

15.左手の練習。曲としてはつまらない。

16.チェルニー100番に似たようなのがあった。

トレーニングの6がある。保持音の練習。

17.面白い転調と首をひねる転調が混在している。

18.右手保持音の練習か。

19.両手ユニゾン、結構弾きにくい箇所もある。

トレーニングの7がある。ハノン的なもの。

20.ホ長調。3連と8分の組み合わせがある。

21.バイエル97のパクリ。ずっと難しいが、曲としてはさらにつまらない。

22.3連符の練習。譜面面よりは難しい。

トレーニングの8がある。3度の練習。

23.縮小の練習でしょうね。

24.曲名どおり。

25.As Dur。これは美しい。

トレーニングの9がある。ハノン15番。

26.これはそれなりにすっきりしている。

27.8小節目の偽終止てのが理解できないなあ。

28.連続トリルをどう処理するのか不明(説明すべきでしょう)。正しいやり方でするのなら最後が3音か5音になるが少し難しい。

トレーニングの10がある。分散和音の練習。

29.トンプソン2巻の「みつばちとクローバー」のぱくり。

30.半音階の練習。これも純然たるエチュード。

31.4段1小節3拍目右1とあるが、よくない、最初から書くと1243でしょうね(スタカートでポジションの移動を行う)。 同じく2小節4拍目右3とあるが当然4。

トレーニングの11がある。ハノン14番。

32.和音の練習かな。

33.2オクターブのアルペジオの練習。これもエチュード。

2オクターブのスケールとカデンツがある。調性はC、G、F、a、D、e、d、B、g、A、Es、c。

総合評価   D

悪い予想が当たったというか、残念な結果になりました。

当然のことですが、狙い通りに物事が運ぶものではないということでしょう。「ブルグミュラーのような楽しい曲ばかり作る」 狙いはともかく、出来上がったものは、特にこのクラスになると、ブルグミュラーに匹敵するものは一曲もないのでは ないでしょうか。

ある種の思いつきに拘ったやや強引な書法が目に付きます。もう一つパロディと言うか、元の曲がはっきり分かるものが結構あり、 それらがことごとく原曲より劣っています。

評価Aはなし、評価Bがぱらぱらということでは曲集としての総合評価はDをまぬかれない。練習曲集としてはややましだが、それでもこの巻はブルグミュラーとほぼ同じ難易度であるから、ブルグを使う方がいいに決まっているし、チェルニー100はチェルニーの中でも使いにくいものだが、まだそちらがましかもしれない。

結局この「ミュージックトレーンシリーズ」で一番出来がいいのは、2冊目にあたる「ピアノさんこんにちは2」。使うのならば、バイエル上巻程度まで(3冊目、せいぜい4冊目まで)、それ以降はむしろバイエル下巻の方がよろしい。

成田さんはたぶんバイエル世代、バイエル・チェルニー100番あたりの影響をやはり抜け切ることは出来なかったようです。(影響されていること自体は悪くもなんともないんですがね)

曲名の付け方のセンスがいい。ただもちろんそれは中身のマイナスを補えるものではない。

95年に第1刷が出て8年間で5刷。ピアノランドとは雲泥の差。世の先生方もやはり同じように感じていらっしゃるようです。そのうちに淘汰されてしまう運命かと思われます。

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