あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 教本 

 

ふよみとテクニックをたのしく アキ ピアノ教本 1   呉暁編著 大社玲子絵  音楽之友社

 前に調べた「うたのピアノの絵本」の続きとなる教本である。5~8歳用と書かれている。「前書き」「内容とねらい」 「この本の使い方」が最初に記されている。自分で譜読みができることに最も意を払った教本らしい。

アキ ピアノ教本 1
番号 曲名 難易度 評価
 1 りょうてでいっしょに  2  C
 2 にんじん トマト  2  C
 3 のぼっておりてくる  2  C
 4 ちゃいろのくまさん  2  C
 5 ピアノのれんしゅう  2  C
 6 パンダ ダンパ  2  B
 7 シュークリーム  2  C
 8 ひだりてのれんしゅう  2  C
 9 ゆびのつかいかた  2  B
10 とりになって  2  C
11 うみにもぐる  2  C
12 ポチとタマ  2  B
13 3どのれんしゅう  2  C
14 「うん」のれんしゅう  2  D
15 かき くり  2  C
16 ぶた たぬき  2  B
17 ほたる  2  B
18 くぐるれんしゅう  2  C
19 かわりばんこ  2  C
20 チューリップ  2  B
21 くぐってごらん  2  C
22 あそびにいこう  2  B
23 たかいおやまに  2  B
24 かっこう  2  A
25 ひとつおき
26 かえるのうた  2  A
27 はじめてのニたんちょう  2  C
28 わたしのともだち  2  C
29 ニたんちょうのれんしゅう  2  C
30 くっついたゆび
31 ぶんぶんぶん  2  A
32 ポテトチップたべたい  2  B
33 「うんたんたん」のワルツ  2  C
34 こがねむし  2  A
35 こりすのあそび  2  D
36 たんうんたん  2  D
37 たんたんうんたん  2  C
38 きれいなおとね  2  D
39 ふたりでうたう  2  D
40 にこにこおひさま  2  B
41 3どのうごき
42 ピアノのほん  2  C
43 ばんごはんのおかず  2  B
44 ぶらんこ  2  C
45 はやいうごき  2  C
46 りょうてのうごき  2  C
47 シーソー あがったりさがったり  2  B
48 かいじゅうでてこい  2  C
49 むすんでひらいて  2  B
50 みぎての3ど
51 ワルツをおどろう  2  B

○1.右C~F、左G(1指で)。

○2~7. 右C~G、左G。4番の歌詞は厳密に言うと少し妙な日本語である。6番は曲は何ということないが 歌詞が面白い。

○8.左手G~C(4指~1指)。

○9.8分音符が出る。曲としてもまあまあ。

○10.3拍子登場。両手の反行型。

○12.割といい感じ。

○13.これまでにも3度進行は出ているから、ここで3度という言葉(概念)を教えるのだろう。

○14.これまでにも4分休符は出てきていたから、ここできちっと意識させるのだろう。ただし右手を同音にしないほうが よかったと思う。同音にしたために、厳密に言えば左手より右手を先に離さなければならない。きちっと意識させるという ことは、そういうことにも気づく可能性があるということである。そのときには「ピアノでは同じ音は~」と説明するのだろうか。 右手をレガート進行にしておけばそういう問題は生じなかったし、左手の休符だけに意識が集中できた。

○16.歌詞が、ちょっと笑う。

○17.左に2度の重音。あまりでかした伴奏ではない。

○18.曲は10番と同じ。ポジションの移動の前にクロスの練習をするというのはよく分からない。うるさい考察を言わしてもらえば、 ポジションの移動の手段としてクロスがあるわけで、それを結びつけないというのは、目的論・意味論的に考えて 誤りではなかろうかと思う。

○20.井上武士曲です。ポジションの移動がある(クロスではない)。

○21.これもまだクロスの必然性がない。

○22.この曲で初めてクロスの必然性を生徒が理解することになる。まあ、この本なら18からここまでくるのに 大して時間はかからないだろうから、これでもいいのかな。

○24.ドイツ民謡。

○25.これは曲ではない。

○26.ドイツ民謡。ポジションの移動はあるが、左手が簡単なので、難易度2(20も)。

○27.ニ短調のポジション。

○29.できるようになったら、FをFisにしてニ長調でもやってみようとある。

○30.これは指の体操。2度重音の練習。

○31.ボヘミア民謡。最も簡単な編曲だろう。

ここでハ長調の音階が登場。右手上行のみ。

○32.いまだ伴奏がG音のみ。もう少し変えたらいい曲になるかも。そうすると順番が変わるが。

○33.左にメロディー。

○34.中山晋平曲。メロディーのみ。ハ短調です。

○35.交互に弾く練習ですかね。

○36~7.曲名に苦労している感あり。

○38~9.一応対位法かな。

○40.ニ長調。久しぶりに曲らしい。

○41.これも曲ではないだろう。

左手のハ長調音階、下行のみ。

○44.ここでいきなり相当高度になる。

○45~6.ここらへんもあまり曲らしくはない。

○47.ニ短調。

○48.左右とも動く。

○49.ルソー作曲。これも最も簡単な編曲。

○50.これはテクニック練習。3度重音の練習。

○51.ワルツ。最後は曲らしく締めた。

総合評価   B-

 まだ閻魔帳には載せていないが新井千音美さんという人の書いた「みんなのおけいこ」という本がある。それの改良版という感じである。

 すべて難易度2である。しかもその大半が難易度2の中でも易しい部類に属する。おそらく次巻の中ほどまで難易度2ではなかろうか。それくらい進度を遅く、丁寧に作ってある。「自分で譜読みができること」に最も意を払ったという編集方針からの必然的な結果であろう。

 ただしある意味当然であるが、この難易度では子供の喜ぶような曲はそうそう数多くは作れない。半数ほどが曲としては つまらないといっていいだろう。

 そこでどう評価するかということになる。これは根本的な考え方の相違からくるものであろうが、私としては曲はできるだけ曲であらしめたい、と思うものである。小さい子供にとって教本にある曲の中で「これは本当の意味の曲」「これはただの指の練習」 というような区別がつくわけもない、特にこの本はすべて同列に扱って番号をつけているのだから。だとしたら子供にとっては 「好きな曲」と「嫌いな曲」があるだけである、そして「好きな曲」の比率がそう多いとは思われない。

 ソルフェージュをしない先生も多い、という実際的観点に立てば、この本の方針が肯えないわけではない。入門者にソルフェージュを別にしない先生にはお勧めといえる。しかし呉さんは、自らが優れたソルフェージュ教材を書いている方である。それを併用するのであるならばこの本はもう少し曲数を減らし、平均点の低下を防ぐべきではなかったか、という気がする。

 「みんなのおけいこ」を使っている先生は結構いる。進み方の極めてゆっくりな教本というものがほとんどないからであろう。あれを使うくらいならこちらの方がはるかによろしいということは言っておかねばなるまい。

 クロスを早くから出すなどの珍しい点はあるが、その並べ方などになんとなくバイエルの呪縛は感じられる本である。

トップへ戻る   1つ上に戻る

© 2015- 田所理央 ご意見・ご感想は t.masato@mathemarimo.bird.cx までお願いいたします。