あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 教本 

 

ピアノランド 3 樹原涼子作曲  岡久留美 絵   音楽之友社 

 お待たせしました、ピアノランドの3巻です。どうでもいいことですが、この頃横長の本が増えてきましたね。楽譜を大きく書いても4小節1段に取れるからでしょうか。使うには良いのですが、しまうには・・他の本とサイズが合わないのでどうも・・

 最初に「つきよのウサギ」という輪唱用の曲がある。

番号 曲名 難易度 評価
 1 ピアノランドマーチ   3  B
 2 ララバイ   3  A
 3 冬のペンキやさん   3  B
 4 チャイニーズレストラン   3  B
 5 ダバダバダ   3  B
 6 しんまいピエロ   3  B
 7 かっぱのむかしばなし   3  A
 8 おとぎのくにのコンサート   4  A
 9 コロコロ コロッケ   4 A(B)
10 おうきゅうのワルツ   4  B
11 たからのダンジョン   4  B
12 みなみのしまのものがたり   4  A
13 ロシアンダンス   4 A(B)
14 バースデーソング   4  B
15 まひるのサバンナ   4  A
16 ともだちになりたい   4  A
17 ちちんぷいぷい チャチャチャ   4  A
18 たびだちのうた   4   B

6手連弾の「王宮の音楽」は難易度が上から5,5,4。評価C。

1.ピアノランド マーチ 付点4分音符登場。p、f、mf、松葉のcresc、dim登場。付点4分の感じはつかみやすい曲。

2.ララバイ mp、D.C.、Fine登場。14のクロスが出てくる。確か2巻では12のクロスしか出てきていない、良い曲だがちょっと順番がおかしいんじゃないかい。

3.ふゆのペンキやさん cresc登場。ここで13のクロス。12の分散4度、25の分散5度がある。ポジションの移動がたびたびあり、2番よりは確かに難しい。

4.チャイニーズレストラン 先生の伴奏が入ればいいのだが、一人だと4,8小節目で左の伴奏型が止まってしまうのがやや妙。音楽も中国風。

5.ダバダバダ ちょっとユニークな曲。最後の右手の指は非ピアニスティックと言わざるを得ない。ポジションを移動して3124でしょう。

6.しんまいピエロ グリッサンドにクラスターが登場する。クラスターはともかくグリッサンドは、幼児の場合は気を付けること(あまり練習させない方が良いかもしれない)。半音的進行の練習かな。

7.かっぱのむかしばなし sf登場。最後の重音のスラーは、ほとんどの子どもがかっこの中の指になってしまうだろう。繰り返しは最初に戻っても歌に戻ってもよさそうである。良い曲で3番まで歌いたいですが、カッパについて説明してやらないといけないでしょうな。

8.おとぎのくにのコンサート 夢見るような良い曲です。一つだけけちを付けるとすると歌詞に登場するもののなかで「オバケ」だけが絵の中にない。(右にいる大きい妖精みたいなの、かな、オバケとは到底思えないけど)

9.コロコロ コロッケ コマーシャルソング調かな。従来の教則本では絶対お目にかからないタイプの曲。子どもはまず喜ぶでしょう。ただこの曲で初登場の付点8分は、日本式の付点で厳密な3対1ではない、それをどう指導するのか。厳密な付点が出てきたときに改めて指導するのか、この段階で、付点には色々あってこの曲の場合は甘めでいいと教えてしまうのか、この曲はパスしてしまうのか。どうしましょうね。

 ここで指の練習曲が4つ入っている。もちろんここで一度に与えるべきものではない。適宜挿入していく。4は両手は難しいだろう。指の体操を先生との連弾にして、それなりに曲にしてしまうというのはなかなかのアイデア。

10.おうきゅうのワルツ 少々譜面が分かりにくいが、1番は繰り返し、2番はダルセーニョで「きふじんたちが ワルツおどるよ」と続くのでしょう。出だしだけだと指使いはむしろ234なのですが、次のパッセージとの兼ね合い、初心者用ということでこの指づかいですかね、教則本としてはちょっと気になる指ですがね。

11.たからのダンジョン ハ短調。題名からはゲームミュージックを連想するが、そんな感じではない。

12.みなみのしまのものがたり 後半のテンポを保つのは難しいだろう(遅く弾くというのはなかなか初心者には難しい)。前半の休符をちゃんと取ること。 

13.ロシアン ダンス 指定速度よりもう少し速い方が感じが出るんじゃないかと思う。良い曲だが最初の5指の連続がどうか。

14.バースデーソング 「あかるくにぎやかに」とあるがあまりにぎやかな曲ではない。むしろ「しみじみと」という感じがする。最後はたとえば「たかしくん」なら太い音符、「たかちゃん」なら小音符を弾くのかな。

15.まひるのサバンナ これもコマーシャル調。この人はホントにコマーシャル業界でデビューしたらいいのではないか。ff登場。5小節目右は21232132の方が良いんじゃなかろうか。

16.ともだちに なりたい 4分の3拍子で右手は普通だが左が付点4分二つ、つまり2連と3連を合わす予備練習、この段階で必要なのかい、という疑問はあるかもしれない。曲そのものは何気ないがしみじみと良い曲。

17.ちちんぷいぷい チャチャチャ 休符からはいるメロディーは頭の音をぶつけないように。最後に35の分散4度があるが、ここまで来ればさほど気にすることはないか。

18.たびだちのうた 3連符登場(№9で手を叩くという形では出てきている)。これはちょっとゲーム音楽風。お終いの右手に11で指を滑らせるというかなり高度なテクニックが出てくる、これはまずいでしょう。「ポケット~」の「ポ」を」4にして以下5421で済むことである。

☆王宮の音楽 6手連弾 「合わす」という練習にはなる。曲としてはこの本の中では最初の輪唱用の曲と並んで、最もどうでもいい部類に属する。

総合評価   A

 1,2巻から想像されたことではありますが文句無しのA。

 どの教則本もこれくらいの難易度になると出来が良くなります、制約が少なくなって曲らしく仕上げることが出きるからでしょう。ピアノランドもこの巻は珠玉の作品が揃っていて1,2巻よりもさらに出来が良いといえます。

 あえて問題点をあげるとすると、教則本としては、たとえば14のクロスが13のクロスより前に出てくるというのはやはりちょっとまずい。

 付点8分が日本の童謡の付点リズムで登場する、正確な付点の勉強にはならないと言うよりきちんと説明して理解させないとむしろマイナスになる。進んだ段階で修得し直すということなんでしょうな。

 バイエル風というか、構築性で成り立っているような音楽が一曲もない。この本で行くとそういうものはソナチネに進んでからということになります。保守的な先生には向かないかもしれません。

 この3巻まで総合的に見て難易度3辺りの曲数が少ないような気はします。生徒によってはこの巻からもう一冊併用すると良い。

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