あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 教本 

 

ピアノランド 樹原涼子作曲 岡九留実・絵   音楽の友社

 SALAMAMAさんのリクエストにより、昨今人気の高い「ピアノランド」を取り上げてみます。1991年初版ですがほぼピアノ教育界に一定の足場を固めたようです。

☆1巻

まずは「ゆびばんごうを おぼえよう」

    「ゆびのたいそうをしよう」

    「こっけんであそぼう」

    「ドをさがそう」

以上を1~3回のレッスンでとある。3回もかかる生徒というのは・・

番号 曲名 難易度p 難易度s 評価
 1 どどどど どーなつ   1   6  B
 2 さらさらおがわ   1   8  C
 3 ぴかぴかぼし   1   5  C
 4 たぬきのたいこ   1   6  B
 5 はらぺこ そんぐ   1   4  C
 6 うずまきめだまに なっちゃった   1   5  C
 7 りぼん   1   9  C
 8 おおきくなったら   1   8  B
 9 きつつきさんにごあいさつ   1   3  B
10 はじめてのワルツ   1   5  B
11 わたりどり   1   5  C
12 コアラコアラ   1   6  B
13 ゆうぐれのすべりだい   1   7  A
14 おさるのかごや   1   7 A(B)
15 えんそくだ わっはっはっ   1   8  A
16 ひこうき   1   5  A
17 ごきげん こいのぼり   1   4  B
18 まほうつかいのよる   1   6  A
19 おしゃれなおじょうさん   1   6  A

13、15はprimoだけでも良い。

14は曲としてはA、教材としてはB。

続いて曲のレッスン

 両手1指を中央のCに置き、少しずつ拡げていくタイプ。(1巻は両手とも4の指まで、すなわち右手がF、左手がGまで)

 最初から両手奏、ただし両手同時は18番のみ。

1.中央のCを左右の手で引き分けている(どちらも1の指)。

2.2分音符が登場、やはり中央のCのみ。

3、4.Dが登場。

5.左手にHが登場。

6.付点二分音符、四分休符登場。

7、9.右手にE、3度音程登場。

8.左右に分かれてはいるが、4度音程登場。ちょっと曲らしくなってきた。

10.3拍子登場。

11.左手にA登場。イ短調。

12.Cdurだが、最後の音をAにするとa mollになる。伴奏は全面的に変えねばならないが「コアラコアラ ママがいない。きょうはひとりおるすばん」とでも2番の歌詞を付けて、はさみこんでやると面白いかもしれない。

13.右手にF登場。

14.8分音符登場だがこれは少し気になる。同指による同音連打となっている、手首が堅くなる危険あり(特に左手の1)。どうしても気になる向きは、四分音符に変えてしまう手もあるだろうが、曲の面白さが減じる。

15.こちらの方が8分音符の導入としては良いと思う。

16.左手G登場。アウフタクトのフレーズ、6度や減5度の音程も登場するなかなか良い曲です。

17.8分の6登場。いきなり付点4分音符がある。付点4分の初登場が8分の6からというのは私は他には知らない。8分休符登場。

18.17まではメロディの左右分割ばかり。ここから本当の両手奏。

19.17から3曲、8分の6です。

総合評価   A-

 最初はBにしようと思いました。理由は当会の基本方針である「子どもの喜ぶ本物の音楽に高い評価を付ける」という趣旨からして、最初の半分くらいはさほど高い評価を与えられないからである。しかし・・ちょっと間をおいて再考し、それは「ないものねだり」だろうなと考え、評価Aとしました。

 すなわち幼児用導入教本の最初においては、音の種類自体が2音ないし3音であり、まともな音楽を作ること自体がほとんど不可能に近いということである。実は日本のわらべうたで、たとえば「なべなべそこぬけ」とか、「○○ちゃんあそびましょ」とかは2音で構成されている本物の音楽であるが、全曲オリジナルという方針からすると、採用するわけにいかず、最初の7曲ほどは「音楽」とはやや言いがたいが、まあ習い立てということで、まだ子どもが我慢できる時期の内であろうと推測し、そういう欠陥には目をつぶることにした。

 音の種類が増えるに従って、「音楽」として通用する作品になっていく、このレヴェルで音楽を感じさせるオリジナル曲をこれだけ並べたのは評価に値することです。

 全曲伴奏が付いていますが、音域が重なる曲が多い。説明を読むと教師は生徒の後ろに立って包み込むように弾いてやる、ということのようですが、ピアノ2台の方が好ましいでしょうな。なお必ず付けてやること、それがあって初めて、特に最初の半分ほどは、音楽としてまともなものになります。

 この本の魅力の一つに岡さんのイラストがあることは間違いない。

 よく見ると5線も縦線も音符の「ぼう」も微妙に曲がっていて、いかにも手書きであるかのような雰囲気がある(曲によって曲がり方が異なるから、ひょっとしたら本当に手書きかな??)。

 気になる点がないわけではない。一つは先にも触れたが、8分音符の導入の同指連打。

 そしてもう一つ、歌詞が載っていて、全曲歌になっている、それは良いのだが、歌うには少々音域が低いかなという気はする。確かに近年子どもの声は下降気味で、2点ハあたりが出せる子どもは少なくなった、その意味においてこの音域は歌い慣れていない子どもには適している、しかし歌が好きな(これはとても大切なことです)あるいは歌い慣れてきた子どもにとって、この音域は声を伸ばすことがおそらく出来ない。またト音などはさすがに今の子どもでも低すぎる。

 もう一つ、教師が注意すべき点として、導入にしては一曲目からやや長い(8小節ある)。慣れるまでは、レッスンで教師と共に予習をして、それを家庭で復習するという形が望ましいであろう。

 最大の問題点は8分の6のいきなりの導入。これをうまくクリアできるかどうかが、この教本を主教材として使う気になるかどうかの分かれ道。

 とはいえ日本人の手による優れた入門書である。そしてそれが正当な評価を得、楽器店などでもドドッと置いてある現状を喜びたい。

 なお4~6才用くらいでしょうか。小学生になると子どもによっては「幼稚さ」に拒否反応を示す場合がある。

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