ピアノ教材研究 逝ける大作曲家
Chopin Frederic Francois
ショパン(1810~49 ポーランド)
難易度 | 推薦 | |
1 | 25 | |
2 | 28 | ☆ |
3 | 28 | ☆ |
○最もよく使われると思われるパデレフスキー版とヘンレ版の相違を中心にメモ。(パデレフスキー版の註に書いてあることには触れない。また演奏に実際に影響してくるもの以外には触れない、あまりに煩雑になります)
2.1楽章 19,20小節クレシェンドのある版(17,18と同じ)とない版がある。22小節ヘンレ版はpがない。次のクレシェンドもない。25小節以降右手二つ目のアクセントは一つ目から二つ目へのディミネンドだという説がある。35小節ヘンレ版はクレシェンド(言葉)がない。37,8小節2,4拍目のアクセント、パデレフスキー版は右手に、ヘンレは中央に書いてある。78小節右手内声2拍目、Cだけの版とAsCの版がある。85小節ヘンレにはpがない、89からのクレシェンドもない。
繰り返し部分から二つの版で数え方が異なる。一番かっこと二番かっこを別々に数えているパデレフスキーと同じ104にしているヘンレの違いである。以下の小節番号はパデレフスキー、ヘンレは-1して下さい。
110からの左手のスラーがある版とない版がある。118小節2拍目右手のアクセント、ヘンレにはない。122からの長いディミネンド、ヘンレにはない。178,181からのクレシェンド、ヘンレにはない。214のp、ヘンレにはない。223,4,5の2拍目のアクセントがヘンレにはない。233のクレシェンドもない。
2楽章 2小節目の右手のスラーがヘンレにはない(こういう形のスラーはことごとく落ちている)。8小節3拍目のアクセント、ヘンレにはない。11,12小節のディミネンドとp、ヘンレにはない。15から6へのディミネンド、ヘンレにはない。21からのテーマの確保部分、最初と同じデュナーミク(ヘンレは省いている)。25,6,7,3拍目のアクセント、ヘンレにはない。32のpもヘンレにはない。45,1拍目のsf、ヘンレにはない。76小節3拍目のアクセント、ヘンレにはない。81からの左手、ヘンレは3音にスラー、パデレフスキーは2,3拍目にスラー。90小節2拍目からの長いスラー、ヘンレにはない。93,4は左右を一部入れ替えると良い。ヘンレの96からの長いスラーは、パデレフスキーでは2拍目から、そして98で一旦離れる。137,9のクレシェンド、ヘンレにはない。143からのディミネンドもない。145からの右手スラーが両版で大分異なる。190のf、ヘンレにはない(ここは弱く弾く人もいる。その根拠)。250,2の右手のスタカート、ヘンレにはない。261からも。
3楽章 ヘンレ版にはLentoがない。最初のスラー、ヘンレは2小節にまたがっている。11,2小節、装飾音のDesからのタイがヘンレ版にはない(Desをのばさないということ)。15、17小節のスラー、ヘンレは全部つながっている。パデレフスキーは前小節最後の音から1拍目まで(左も同じ)で切れている。18のsempre f、パデレフスキーは一回だけ、ヘンレは同型4カ所すべてにある。中間部のスラーはヘンレは統一がとれていない。
3.1楽章 3、7、11小節目のスラー、ヘンレは1拍目から、パデレフスキーは3拍目から。14小節目からのスラー、ヘンレは左右がそろっていない。17小節からの右手スラー、ヘンレは19の頭まで、パデレフスキーは18の頭まで。23の右手のディミネンド、ヘンレにはない。29からの右手スラーヘンレはコマギレ、パデレフスキーは長いのが一つ。31からのスラーも全然違う。1番かっこの中のクレシェンド、ヘンレにはない、逆に最後のフレーズにディミネンドがある。ここからまた両版で数え方が異なる、ヘンレは-2すること。
95の左手4拍目、ヘンレは新たなフレーズにしている(その方がいいと思う)。102の3拍目でパデレフスキーは右手を使う。105のスラーの切れ目、ヘンレはD、パデレフスキーはG。115小節、2拍目のスラー、ヘンレは頭から三音、パデレフスキーは16分から引っかけて2音だけ、次もスタートの場所同じく異なる。124の左手のスラー、ヘンレは最後まで、パデレフスキーは3拍目まで。129の左のスラー、ヘンレは1拍前から始まっている。133のスラーも異なる。162の右手スラー、ヘンレは3拍目で切れる。171の右手スラー、ヘンレは2拍ずつに分かれる。186から195まで、ヘンレにはデュナーミク記号は一切ない。194からのスラー、ヘンレは194の終わりと197の2拍目の終わりで切れている。
67小節中声三つ目のGを左で取ると少し楽。71の3つ目D、181の三つ目Hも。
2楽章 51、207小節からのクレシェンドがヘンレにはない。76、140のスラーの切れ目、ヘンレは続いている。93、101のf、ヘンレにはない。107からのクレシェンド、ヘンレにはない。最後のff、ヘンレにはない。
3楽章 ヘンレは最初の小節を不完全小節として小節数に数えていない、以下+1すること。
4小節からの右の長いスラー、ヘンレは6小節2拍目cisの後、パデレフスキーは8小節4拍目fisで一度切れる。22からのディミネンド、ヘンレにはない。40、54,72からのスラー、ヘンレは1小節ずつ三つ、パデレフスキーはアウフタクトとして処理。42あるいは3から53までの長いスラー、ヘンレは47の真ん中と50の終わり、パデレフスキーは44の終わりで切れる。75,6のクレシェンド、ヘンレにはない。93,94、109,110の2拍ずつのスラー、ヘンレは4拍、次が98まで。102のpp、ヘンレにはない。115から8までのデュナーミ、すべてヘンレにはない。
4楽章 パデレフスキーは42小節5拍目でスラーの切れ目、ヘンレは43小節2拍目。47小節、ヘンレは1小節のスラー(ここはこの方がいいと思う)。なお左手の細かいスラー、ヘンレには一切ない。62小節目の2カ所のスラーの切れ目、ヘンレにはない。70、74小節最初の和音のスタカート、ヘンレにはない。90~5小節、195~202小節の右手アクセント、ヘンレはディミネンドと読んでいる。111,3のスラーの切れ目、ヘンレにはない。119のf、ヘンレにはない。130からの長いスラー、切れ目はパデレフスキーが133の5拍目、ヘンレが137の終わりと8の終わり。153小節5拍目の切れ目、ヘンレにはない。186の終わりから次への左手のスラー、ヘンレにはない。193,4の切れ目が二つの版で大分異なる、ヘンレはややこしい。207から右手二音ずつのスラー4回、ヘンレは217までの長いスラー一つだけ。ここは211を見ると、ヘンレの方が統一はとれている。221のクレシェンドがヘンレにはなく、225にクレシェンドがヘンレにはある。パデレフスキーは240の5拍目と244の終わりに切れ目、ヘンレは244と5の終わりに切れ目。272からの右手スラー、パデレフスキーは次の6拍目まで、へんれは4拍目まで。
217の左手5拍目裏のGisを右で取ると少し楽。219の2拍目裏、221の5拍目裏fisも。
○あとがき
ショパンの楽譜については様々な問題がある。初版からして2種類あるし、できあがった版にまた新たにショパンが書き込んだり、詳しいことは専門家に譲るが、原典という奴が定かでないと言うか、原典をそのまま使うということにちょっと首をひねらざるを得ないという実例である。
優れた楽譜として定評のあるヘンレ版は少なくともショパンのソナタに関しては、余り実用的ではない、何というかまだ推敲の途中という感じがする、特に2番はその通り弾くことはちょっと考えられないと思う。パデレフスキー版は非難しているピアニストもいるが、原典をもとにして、さらに推敲を重ねたものと言えよう、私としてはソナタに関してはこちらを薦める。
○私的な追想
20代の終わり頃、3番を発表会で弾いた(全楽章)。当時同じ合唱団に属していた、愛知芸大声楽家出身の女性と同志社女子のピアノ科の人にゲストで来てもらっていた。打ち上げで、愛知芸大の人が「私、田所さん、見直したわ」と言って、となりの同女の人がうんうんとうなずいていたのを覚えている。(その人にはそれから何度か伴奏を頼まれている)。
彼女らにしてみれば音大も出ていないクセに普段偉そうなことを言っていると思っていたのだろう(私は技術委員長、実質副指揮者ということになっていた)。その日から同女の人の態度がころっと変わったのはばからしくも面白かった。
逆に私の演奏を以前から知っていた友人達は「見直したわ」という発言には、かちんときたようである。後で「何、あの人」という声があちこちから聞こえた。それこそ「何を偉そうに」と言うことなのだろう。まあ、ただ、世間一般の態度はむしろ彼女たちの方に近い。
50の声を聞く年になって、3番を人前で弾くことには躊躇せざるを得ない。基本的テクニック修得に費やした時間、最もピアノをしなければならない10代後半から20代前半にかけてのピアノに向かった時間というものが、私の場合やはり音大卒の方々に比べて格段に少ない(私が真剣に弾き始めたのは20代後半からである)。そのせいかどうか、最近テクニック面での衰えを痛切に感じる。3番が弾けるかどうか怪しいものだ。淋しいことである。
番号 | 難易度 | 推薦 |
1 | 25 | ☆ |
2 | 25 | ★ |
3 | 27 | ★ |
4 | 27 | ☆ |
○コルトー版、ヘンレ版、パデレフスキー版、井口版を調べる。コルトー版はコルトーのレッスンを受けたかと思うくらい の膨大な書き込みがあり、それについての当方の感想も記すが、ほかの三つについては異同のみである。なおソナタ同様に 演奏解釈に明らかに差が生じている箇所以外記さない、あまりにも煩雑になりますので。
スケルツォ1番
最初の二つの和音はコルトーの言うように、一瞬の間を取る。5小節目、パデレフスキーはsf、他はfz(以下4番までことごとくそうなっている)。9小節目からの左最初の記号、パデレフスキーは9,11にアクセント、コルトーは9,10,11,12に松葉のdim、ヘンレと井口は9,11がdimで10,12がアクセント。9,11,13のfz(sf)、コルトーは9にしかついていない。17からの左は、コルトーは17のアクセントがどこについているのが不明で18,19,20はdim、パデレフスキーは17,19にアクセント、ヘンレは17,18,19,20にアクセント、井口は18と20にアクセント(17と19はfzがあるので省略したものと思われる)。
25の右頭、コルトーはスタカートにして、次のGをffで弾くことを勧めている。実は私もそう弾いていて、コルトー版を見て100万の援軍を得た思いである。25から28までコルトーと井口は頭にアクセント、ヘンレとパデレフスキーは頭からのdim。32頭のアクセントがコルトーにはない。井口は29にmf、まだfだろう。33小節2拍目と34頭にヘンレ、パデレフスキーはアクセント、井口は36までアクセント、コルトーは33はdimで34,35にアクセント。38~39、42~3の左HからAis、コルトーはテヌート、パデレフスキーと井口はスラー、ヘンレは何もなし。39小節2拍目のアクセントがコルトーにはない。
44小節、1拍目の後にコルトーはブレス、これはまあ常識。そこでコルトーはrit.になっているが、これはリタルダンドではなくリテヌート(318も)。46小節に井口は松葉のdim。51~2の左、コルトーはタイ、井口は上がタイで下はスラー、コルトー、パデレフスキーはない。53~4は井口は同様で、コルトーは他の二つと同じになる。55~6の井口はタイ。ここら辺の井口はよくないと思う。56にコルトーは松葉のcresc。57、61の後にコルトーは間を取っている。
69のagitatoはコルトーの言うように、本来のテンポに戻す程度の意味合いしかない。79から85までの最後の音にコルトーはテヌート、意味合いは分かる。85頭に井口はp。103のsempre piu animatoがコルトーにはないが注釈に言葉で同じような意味のことが書かれている。109に井口はスタカート。110の頭を右で取るピアニストはいる。117からの4小節ずつのスラー、井口にはない、ヘンレは117からの後半から。
127から240までは慣習的に省かれるとコルトーにあるが、近年はまず省かれることはない(最初の繰り返しはよく省かれる)。280にヘンレと井口はf、コルトーはfz、パデレフスキーはsf。280~81の右、コルトーはテヌート。その部分、 ヘンレだけ松葉のdimがない。288にコルトーは松葉のcresc。289にコルトーとパデレフスキーは松葉のdim、ヘンレと井口は頭の音にアクセント。288に井口はriten。289,293の後にコルトーは間、そのあともワンフレーズごとにブレス、最後はフェルマータ。まあ、ここは当然間を取る。
中間部、コルトーはメトロノームの指示がない。305~22、337~52、369~84、ヘンレとパデレフスキーは左は長い一つのスラー、コルトーと井口は1小節ずつのスラー。310,318の左頭にコルトーはテヌート。320まで井口はメロディーラインにテヌートを書き込んでいる。コルトーは3拍目と1拍目の間のメロディーをすべてスラーでつなげている。319,3拍目のアクセント、井口はテヌートに変えている。318にパデレフスキーはp、320に井口はp。326の左をコルトーは修正している、一理はあるが私は従わない。329の右の弾きかたは、楽譜から見ると、ヘンレはFisis,Dis,Cisの順、コルトーとパデレフスキーはDisを先に、残りが同時という意味か、井口は奏者にゆだねている(後一つFisisとDisを先、Cisが後という奏法がある)。335のritenutoの代わりにコルトーは334の内声にテヌート。
344,3拍目ヘンレとパデレフスキーはアクセント。350にパデレフスキーはp、351にa tempo。357のcon anima(325にあわせている)がヘンレにはない。361,363頭、井口とヘンレはアクセント、コルトーは松葉のdim、パデレフスキーは361はアクセントで363はdim。コルトーは388に松葉のふくらみ。
389、ヘンレと井口は左右の各頭にアクセント、パデレフスキーは左だけ、コルトーはfzがあって松葉のdim。ヘンレと井口は393,396にfz。コルトーは389,391,393。パデレフスキーは389,391,393,396。397,399頭にコルトーはアクセントがない。401,404にヘンレと井口はfz。パデレフスキーは397,399,401,404に。コルトーは401だけ。井口は397にp。409~412の頭のアクセントがコルトーにはない。413,2拍目414の頭のアクセントも。井口は415,6にもある。419,2拍目のアクセントがコルトーにはない。
562、パデレフスキーとヘンレはfとアクセント、コルトーはfだけ、井口はfzだけ。570~572と573以降の左での違いに気をつけること。570から4小節の右手頭のアクセント、井口は583まで補充。573から575までの左頭のスタカート、パデレフスキーは580まで補充、井口は570~580(やや疑問)、コルトーはスタカートがないが注釈でそう弾けとある。井口は585にfz。589から592まで、井口は4小節スラー、コルトーは2小節ずつパデレフスキーは1小節ずつ、ヘンレはスラーがない。コルトーは599の後に間を取るようにとあるが、私は600のあとだと思う。コルトーは615から松葉のcresc。
スケルツォ2番
冒頭は不安のうちにささやかれた問いかけ、2回目の3連はショパン自らが「よりおとして」と言っている。18~20、42~44は伝統的演奏では詰める。22、46のfzを明確に(パデレフスキーは1番同様sfになっている)。49、57のdimがコルトーにはない。63のpoco ritenutoもない。ヘンレは63,4の頭にアクセント、コルトーは62,4、パデレフスキーは61~4、井口は61~3。68右のアクセントがコルトーにはない。71からのcresc
がコルトーは72から。72,3の左頭にコルトーはテヌート。80までの右スラーは各版すべて違うが、コルトーのように大きなスラー一つと解するのがもっとも自然だと思う。少なくともスラーの切れ目で離すことはちょっと考えられない。
80のfがコルトーにはなく、cantando,con caloreとある。85から松葉のdimがヘンレとパデレフスキーにはある。頂点の87を意識してか、コルトーと井口にはない。95のアクセントの前に井口はいったんcresc、コルトーにはアクセントがない。97のアルペジオをコルトーは上声をタイにして下だけ弾くようにしている。98の松葉のdimがコルトーにはない。105の頂点に向けて、ヘンレとパデレフスキーはその前からやはりdim、井口とコルトーはcresc。114にコルトーはffとアクセント、パデレフスキーはff、井口はアクセント、ヘンレはそこから松葉のdim。117にヘンレと井口はff。118から4回右パッセージ頭にアクセント、コルトーは118と122だけ。125~6に井口は松葉のcresc。126からのパッセージを左右両手に分散する人は多い。
134から中間部までコルトーは「勧めはしないが省いてもよい」としている、現在では音大の入試などを除いて省くことはまずない。148右、コルトーはテヌート(172にはない)。193~6の頭のアクセント、コルトーは194と5だけ、ヘンレにはない。コルトーはこの2回目はほとんどのデュナーミクを省いている、ヘンレが今度は大きなスラーで228まで、どうもショパンはこの部分に関しては適当にスラーをつけたような気がする(基本的にお好きなように、でいい気がする)。250からの 4回右パッセージのアクセント、コルトーは一回目だけ、2,3回目は松葉のdim、4回目なし。
273~4、294~5の松葉のdimがコルトーにはない。井口はその前に松葉crescをつけている。276の後コルトーは間。281、307からの小音符をコルトーは普通の大きさに変えているが、ここは奏者の自由にゆだねたい(小音符の方が心理的制約がなくなる)。285,289、ヘンレとパデレフスキーはアクセント、井口とコルトーは松葉dim。309、小音符の最後、ヘンレとパデレフスキーは4分音符、井口とコルトーは8分音符と8分休符。
309,2拍目井口にはp。310だけ左の2~3拍目にスラーがあるが、これはコルトーのように320まで、もしくは以下すべて補っていいと思う。コルトーは321~4の左2拍目にテヌート、317にpiu accentato(これは当然右)、326~331左付点2分音符テヌート、332左2拍目テヌート、322にpoco cedendo(譲って、屈服して等の意味、ほとんどritに近いと思う)とある。井口は322にpoco rit、322~3に松葉のふくらみ、コルトーも322に松葉のcresc。326,328,330の左Gisに井口はスタカート。
コルトーは338,9、346,7の2~3拍目のスラーを次の1拍目までつないでいる(2度目は他と同じになっている)。336,344左頭、ヘンレだけスタカートがない。349左の松葉crescがコルトーにはない、350のfも。366~8に松葉のdim、ヘンレと井口にあり、コルトーとパデレフスキーにはない。375~6の松葉dimもコルトーにはない。コルトーは376でスラーを一旦離している。コルトーは379のpがない、383、409からの右を主音符にしている。井口は387にp。396~7の松葉dimがコルトーにはない、井口はその前に松葉crescがある。コルトーと井口は397でスラーを一旦離している。
ヘンレは409の主音符(4分)と小音符(8分)をタイでつなぎ、スラーも小音符の終わりまで。他は主音符が付点4分で、スラーもそこで離れている。434にヘンレと井口はpoco riten、そこの松葉crescがパデレフスキーにはない。435頭、ヘンレとパデレフスキーはアクセント、コルトーと井口は松葉dim。436に井口はp。452のfがコルトーにはない。457左コルトーは一くくりのスラーにしている。
468のsempre fがコルトーにはない。475~6のスラーがコルトーにはない、これは重大な解釈の相違。479、480、484、487、488の左スタカートがコルトーにはない。491、2拍目から左3つ、コルトーはテヌート。490,2拍目から井口は松葉cresc。思うにコルトーはここを重々しく弾きたいようである、解らないでもない。492頭のfzがコルトーにはない。492,2拍目に井口はmf。508,2拍目に井口はpiu f。516,3拍目からの左スラーがコルトーにはないが、単純に付け忘れのようにも見える。519、コルトーと井口はスタカートあり。520、524左のスタカートがコルトーにはない。521,523、527、529、531、533、535右に井口はスタカート、賛成できない。520、528に井口はp、他はcresc、井口は532にcresc。
536,1拍目左のスタカートがコルトーにはない。540頭にコルトーと井口はffz、パデレフスキーはsf、ヘンレはアクセントだけ。その前のパッセージにコルトーは微妙にスタカートをつけているが解説を読む限り、さほど重要ではなさそうである。545から559まで右手2,3拍目にコルトーはテヌート、563,567,569,571も、561はスラー、573から3回ポルタメント、最後はスラー。ヘンレは559まではスラーがあり、561からはスラーがなくなり、573から3回スタカート、最後はスラー。井口は571までスラー、以下同じ。パデレフスキーは559までスラー、以下何もない。ここの箇所の1拍目の和音のアルペジオ、コルトーとパデレフスキーは568からない。
561,563,565、2~3拍目にコルトーは松葉dim。581にコルトーはpp。560に井口はpoco a poco decresc。587~8、595~6をコルトーとパデレフスキーはスラーでつないでいる(次も)。632、640左のスタカートがコルトーにはない。632にコルトーと井口は松葉dim。637,639,645右ヘンレはスタカート、井口は647にも補う、コルトーとパデレフスキーはない。
井口は686にcresc、692にpiu crescがある、704から松葉のcresc、706にmolto crescがある、気持ちは解る。708のffがコルトーにはない。708,710,712,714,716の左1拍目のスタカートがコルトーにはない、最初のときはついているので、あえて変えたのか、書くまでもないということで付けてないのか不明、コルトー版は時々こういうことがある。716に向けて井口は松葉のcresc、716にff。716に松葉dimがあるのがヘンレと井口、716左2拍目のスラーが711まであるのがヘンレとパデレフスキー、717左にアクセントがあるのがコルトーと井口。718、723に松葉crescがあるのがコルトーと井口。720の松葉dimがあるのがヘンレと井口。
724にコルトーと井口はfp。725からの右手1拍目にコルトーと井口はスタカート(井口は左も、コルトーは左は725だけ)。736,744にコルトーはアクセント。747に井口は松葉のcresc。748からの8小節をコルトーと井口は1,2,2,2,1に分けている。756に井口とパデレフスキーはff、松葉のdimがヘンレと井口にある。コルトーは757まで左がスタカート、ただし次にはない。これも書くまでもないとしたのかどうかが不明。758、762にコルトーと井口は松葉cresc。760にヘンレと井口は松葉dim。764,766左コルトーはスタカート(768はない)。井口は764,766,768の左頭だけスタカート、そして松葉cresc。772に井口はff。
スケルツォ3番
6小節頭、ヘンレ、井口にスタカート。6,14の和音のfがヘンレにはない。松葉dimがコルトーにはない(これはほとんど無意味だから省いたのかもしれない)。5,13、井口には松葉dim。18,19の和音二つにコルトーはアクセント。risoluteがヘンレとパデレフスキーは21から、井口とコルトーは25から、これは井口に従いたい気もする。21~4、私は「ゴジラが出てくるような」イメージで弾きます。25(43)からのオクターヴのパッセージ、ヘンレと井口は31頭にスタカート、パデレフスキーは何もない、コルトーは31頭まですべてスタカート、次からテヌート。また、コルトーは27にmf、29にcresc、31に松葉cresc(井口も)、33にff。井口、コルトーは31のリズムを変えている、よくない、また井口は33から松葉dimがある。井口とコルトーは34と5の内声のGisをタイで結んでいる(コルトーの35のpはほとんど無意味になる、井口はpの場所をずらしている)。36~9の上声、コルトーはテヌート、37~8の内声はそれぞれスラー。39~40、コルトーは40の頭二つをスラーでくくり残りスタカート、独自の解釈。
54に井口とコルトーは松葉cresc。57にヘンレ以外はp。64,3拍目の右手Cisがヘンレにはない、これはドイツ初版に基づくもの。73~4の右手スラーがヘンレにはない。75~90の右手内声と86~8の左に、コルトーはスタカート。井口は右手内声と左の4分音符すべてにスタカート。91~6の右手頭、ヘンレと井口はアクセント、コルトーとパデレフスキーは松葉dim。コルトーと井口は左4分音符にスタカート。101からコルトーは松葉cresc。104、ヘンレと井口はアクセント、コルトーとパデレフスキーは松葉dim。
106にコルトーはff。133~4の内声にコルトーはスラー。129からコルトーとパデレフスキーは143までの長いスラー、井口はオクターヴの間はスタカートで、後は長いスラー、ヘンレはやはり初めスタカートで、スラーが135,138の終わりで離れる。143~6までコルトーはテヌート。147、ヘンレは松葉dimだがこれは無意味、他版のようにアクセントだろう。
第二主題の部分はコラール部分を遅く、8分音符部分で速さを戻す、という弾き方が普通。井口は155にmf、159頭でf、 すぐp。ヘンレだけは159頭からスラー、他は2拍目から(以下この形同じ)。167、コルトーとパデレフスキーはpp、ヘンレと井口はp。172~4にヘンレと井口は松葉cresc。183にコルトーはmp(187にp)、他はp。
186,190、ヘンレとパデレフスキーは休符をまたいでフレーズの終わりまでスラー。192~9までコルトーはテヌート。199に井口はスタカート、これは奇妙。200にコルトーはmf。203頭だけ井口はf。230,234、コルトーはポルタメント。ヘンレは切れ目なしの長いスラー、他は前と同じ。236~242、コルトーはテヌート。243頭、コルトーと井口はスタカート。243,251,259,267、3拍目井口とコルトーはp。250,258,266、井口はスタカート。
271のdimがコルトーにはない。280左コルトーはfzでスタカート、井口はスタカート。283、コルトーと井口はp。291頭に井口はf。316は当時のピアノの音域の制限により原典では他の箇所と音型が異なる、コルトーと井口は今のピアノに合わせて音を補充、ヘンレとパデレフスキーは原典どおり。
320からのスラー、ヘンレは326までと残り、他は4小節ずつ。井口はその3小節目にいつも松葉cresc、4小節目に松葉dimもしくはアクセント。333にコルトーは松葉dim。336にコルトーはp、他はsotto voce。342に井口は松葉cresc、次にアクセント。348、井口はmf、他はf。349~51、井口は松葉cresc。352、コルトーはp、左にアクセント。
353~4,357~8、コルトーと井口はスタカート。そこのスラー、コルトーとパデレフスキーは4小節ずつ、ヘンレと井口は8小節。コルトーは361,3,5の和音にテヌートとスタカート、残りのオクターヴすべてにアクセント。366、コルトーと井口は松葉のcresc。367、コルトーはアクセント。コルトーは一回目と比較して374頭のアクセントだけ異なる。他は368,370,372,374頭にアクセント。コルトーは415に松葉のdim。コルトーは417の内声だけスタカートを付けているがこれは以下同様ということであろう。
433にヘンレはfがない。433~440の内声、井口はスタカート。433~439、441~4、446の頭、パデレフスキーとコルトーは松葉dim、ヘンレと井口はアクセント。440、ヘンレだけスタカートがない。445、井口とコルトーはスタカート、447、井口はスタカート、コルトーは左テヌート。448のmeno mosso、コルトーにはない、書くまでもないということであろう、パデレフスキーはpiu lento。
448、コルトーはf。453頭に井口はf。477~485のスラーの付け方がヘンレは前と異なる。ショパンのスラーの付け方がそのときの気分しだいという間接的証拠でもある。486~493、コルトーはテヌート。493、井口はスタカート。 494はコルトーの言うようにテンポをさらに遅くした方がいい。497,505,513,521、2拍目、コルトーはp、パデレフスキーは497にpp、井口は513,521にp。504~5の4分音符にコルトーはテヌート(私も同意)518~521にヘンレ以外は松葉crescがあるが、私はここはヘンレのようにcrescなしがいいと思う(519からむしろdim)。
527~8にコルトーは松葉cresc。538,9左、ヘンレだけスタカートなし。540にコルトーはテヌート、541頭に井口はテヌート、コルトーは541頭で540からのスラーを離している。コルトーは542にcantando con caloreとある。541からコルトーと井口は左2小節ずつスラー、右のスラーは版によってばらばらだが、コルトーとパデレフスキーのごとく大きな一つと解するのが最も自然だろう、ヘンレが一番気まぐれ(548,557の終わりで離す)。コルトーは564から松葉cresc。
コルトーは567,2拍目から571までスタカート、572が二つテヌートで、三つ目アクセント。井口は全部スタカート。573にヘンレ以外はf。574のcrescがコルトーにはない。573からの右手スラーはパデレフスキーと井口がいいと思う。ヘンレは例によって気まぐれ(4,8,13と分けている)581~8までコルトーは左1拍目にスタカート、井口は2拍目にスタカート。591~2にコルトーは松葉cresc。
601,2拍目にコルトーと井口はアクセント。599~600の右松葉crescが井口にはない、601の松葉dimも。602終わりからの松葉crescの代わりに井口は603にcresc。604,3拍目、605頭右、コルトーはテヌート。606~612の左4分音符に井口はスタカート。611頭のアクセントがコルトーにはない。613~6左2拍目井口はスタカート。617頭のアクセントがコルトーにはなく、619左2拍目のアクセントを松葉のふくらみに変え619から右手に松葉crescがある。
621左頭に井口はアクセント、最終音にf。629にコルトーと井口はff。645のアクセントをヘンレは松葉dimと解している。パデレフスキーには645,7,9のアクセントがなく、ヘンレにも647,9にはない。
スケルツォ4番
出だしは浮遊しているようなイメージ。5小節目、パデレフスキーはアクセント、他は松葉dim。コルトーと井口は最初のスラーが11小節目まで、他は9小節目まで。13小節目井口とコルトーは松葉dim(井口はその前に松葉cresc)、他はアクセント。17の頭をヘンレと井口は前からのスラーの最終音に、他はそこから新しいスラー。25にパデレフスキーはスタカート。
26、ヘンレは松葉dim、パデレフスキーと井口はアクセント、コルトーはない。32と3の間が離れているのはヘンレと井口。33~6、コルトーはテヌート。37、パデレフスキーはアクセント、他は松葉dim。45、ヘンレと井口は松葉dim(井口はその前に松葉cresc)、パデレフスキーはアクセント、コルトーはない。49からのフレーズ、ヘンレは54まで、パデレフスキーは55まで、他は57まで。
60~64、61を頂点にパデレフスキーとヘンレは松葉のふくらみ、コルトーはdimだけ、ヘンレはなし。65、コルトーだけスタカートがない。66に井口はp。68、84右最後、コルトーはスタカート。73にアクセントがあるのがコルトーと井口、ヘンレとパデレフスキーは松葉dim、コルトーは両方あり、井口はdimをcrescに変えている。81にコルトーだけスタカートがない。
ヘンレは90の途中でスラーを離している。91、コルトーは装飾音をタイにしている。そのあたり井口だけ松葉のcresc、他はdim。コルトーは93にmf、Gis音を右で取らせている(アルペジオはなし)。98に井口はp。105、113にパデレフスキーはスタカート。109にコルトーはテヌート。114に井口はp、後117まで松葉cresc、119まで松葉dim、120終わりにcresc。パデレフスキーは117を頂点に114~120に松葉のふくらみ。コルトーとヘンレはない。121にコルトーはスタカートがない。128に井口は松葉cresc。
132~6までヘンレは休符を飛び越えてスラー。コルトーは135までのスラーで132,6はテヌート。132に井口はf。132にヘンレとコルトーは松葉dim。パデレフスキーはアクセント。134からパデレフスキーとコルトーは松葉dim、井口は逆に135から松葉crescで137から松葉dim。141から左にスラー、パデレフスキーと井口、コルトーとヘンレは142から。145のスタカートがコルトーにはない。
井口は146にアクセント、そこの右スラーを3小節,2小節に分割している。151にコルトーはpp、パデレフスキーはアクセント。パデレフスキーは153から調号をAsに変えている。コルトーは156でスラーを一旦離している。153にコルトーはp、井口はmf。157、コルトーと井口は松葉dim、パデレフスキーはアクセント、ヘンレはない。
ヘンレとパデレフスキーは153から168までスラー、井口は休符で一旦切れている、コルトーは161終わり、休符の前、164終わりで離れる。162からの松葉dimがコルトーにはない。井口は松葉dimが短く、すぐ165を頂点とした松葉のふくらみがある、パデレフスキーとコルトーは165からの松葉dimだけ、コルトーはない。コルトーとパデレフスキーは167~9のベースにスラー、井口は165~7と168にスラー(これは奇妙)。
169に井口はp。177のスタカートがコルトーにはない。178にコルトーと井口はp。178からのスラーをコルトーは2,4,1に分割している。180からの松葉crescがコルトーにはない。184にコルトーはテヌートとスタカート。185に井口はmf。189にコルトーはテヌートがない、パデレフスキーはアクセントもある。189を頂点とした松葉のふくらみがヘンレと井口にある。
194、ヘンレは左右ともアルペジオ、パデレフスキーと井口は左だけ、コルトーはない。196でスラーを離しているのがコルトーと井口(コルトーにいたって間を取っている)ヘンレとパデレフスキーは201の1拍目まで。井口は194の松葉dimを短くして195から松葉cresc。197、コルトーはアクセントの代わりに?テヌート。201、コルトーはpp、左頭にfz、井口は頭にfz、2拍目にpp、パデレフスキーは頭にpp、ヘンレはなし。井口は201から調号をEに変えている、他は198から。
209、井口はp。コルトーはスタカートを付けていない。210、ヘンレはアクセントがなくそこから松葉のdim、他はアクセントで211から松葉のdim。211にコルトーはpp。217にコルトーと井口はmf。コルトーはcantandoも。217頭、コルトーは松葉dim、他はアクセント(コルトーはテヌート)。219左にパデレフスキーはスタカート、219にパデレフスキーとコルトーはleggiero。
222,224,238の左スタカートがコルトーにはない。松葉のふくらみの山がヘンレ、パデレフスキーは226,231の頭。コルトーは225だけ。井口は225と231の頭。231~2の左、コルトーはスタカートはないものの、222に合わせたいようでもある、他は一つのスラー。248最後、コルトーはテヌート。249からの左、ヘンレは255まで一つのスラー(252のスタカートはある)、パデレフスキーと井口は252頭で切る。コルトーは249の終わり、253の頭でも離れる。257からも同様だがコルトーは268のスタカートがない。
256、264最後のアクセントがコルトーにはない。265に井口はpiu f。265からの左はヘンレは272まで一つ、パデレフスキーは268頭で切れる、コルトーと井口は267終わりまでのスラーと、268,2拍目からのスラー。273にコルトーと井口はp。275~6に井口は松葉cresc。277~80左にコルトーはテヌート、281のスタカ-トがコルトーにはない。277からの左スラーがコルトーと井口は280まで、他は281まで。
パデレフスキーは281から288まで長いスラー、ヘンレは282から3までと283から8まで、井口は281から3までと283から8まで、コルトーは282~3、283~4、285~8に分かれている。井口は285を頂点とした松葉のふくらみがある。285にパデレフスキーはアクセント。285~8にヘンレは松葉のdim、左には松葉のふくらみがある、コルトーにはどちらもない、パデレフスキーと井口は左だけ。ヘンレにはその部分の左スラーはない。
289頭のスタカートがコルトーにはない。そこの左、井口は287までのスラーと288のスラー、289から別のスラー。パデレフスキーは285~9にスラー、ヘンレとコルトーは289,2拍目からスラー。289に井口はp。コルトーはポルタメントのパッセージのうち294だけスタカートの印を消している、理由不明。297にパデレフスキーはスタカート。
292を頂点とした松葉のふくらみがパデレフスキーと井口にある。301~2に井口は松葉のdim。305~8左井口はスラー。309に井口は松葉のdim、パデレフスキーはアクセント。309~312左、コルトーはテヌートにスラー、井口はスラー、パデレフスキーは313までスラー。313左のfzがコルトーではテヌート。井口は317を頂点とした松葉のふくらみ。パデレフスキーは317にアクセン、ヘンレとコルトーは松葉dim。
313のスラーはヘンレは321頭まで、コルトーは休符と316終わりで離れる、井口は休符で離れる、パデレフスキーはその前から続いていて329まで。なお井口は321右手二分音符を4分音符と4分休符に変えている。315~6左、コルトーと井口はスラー。左、ヘンレは317~20にスラー、321はスタカート、コルトーは318~21にスラー、321はテヌート、パデレフスキーと井口は317~21にスラー、321はスタカート。
ヘンレには322からのパッセージに松葉はない。329、337のスタカートがコルトーにはない。334からの松葉dimも。330からのスラーがヘンレは336まで、他は337まで。338に井口はp。340,3拍目にコルトーはスタカート。345、コルトーは松葉dimでスタカートなし、他はfz。352にコルトーはスタカートがない。369からの左オクターヴ、ヘンレには何もない、パデレフスキーは2,2,4のスラー、コルトーと井口はそれぞれの塊の4音つなげて、4音目からスタカート。なお、それぞれの塊の最初のアクセントをコルトーは松葉dim、井口も3回目だけそう解している。
ヘンレ、パデレフスキーは377にff、コルトー、井口は376の3拍目。その部分ヘンレ、パデレフスキーは382まで一つのスラー、コルトーは380までと381の初め2音にスラー(377~80にテヌート)、井口は381の2音だけスラー、3音目スタカート(コルトーは左だけ)。385の後コルトーは間を取っている。
井口とパデレフスキーは392頭を頂点とした松葉のふくらみがある、コルトーは393まで松葉crescだけ。ヘンレは何もない。393からの右スラー、パデレフスキーとコルトーは407まで、ヘンレは8小節で一旦離れる、井口は4,4で離れる。397を頂点とした松葉のふくらみがパデレフスキーと井口にある。井口は401にp。そこの左のスラーは各版同じだが、コルトーは8分音符と次の4分音符を短いスラーでつないでいる、以下この形同じ。408右にコルトーはテヌートと松葉cresc。
418からの左スラー、ヘンレは5小節、他は1,2,2と分かれる。422右、ヘンレは四分、付点四分、8分、コルトーは8分、付点4分、8分休符で8分、パデレフスキーは4分、4分、8分休符で8分、井口は8分、4分、4分休符で、8分。コルトーはそのフレーズ後半の松葉がない、ヘンレは413,421から松葉dim、パデレフスキーは421からが松葉cresc、井口は417から松葉crescがあって、421から松葉dim。
427~32の左、ヘンレは一つのスラー、井口は2小節ずつ、パデレフスキーとコルトーは426の最終音から428終わりまで、以下2小節ずつ。429の松葉crescがコルトーにはない。427からのスラー、ヘンレは実質的に434まで、他は432から新たなスラーで434まで。433からの右スラー、パデレフスキーは447まで、コルトーとヘンレは446まで、井口は4,4,6に分割。次のスラーは各版とも461までだが、井口だけは2,4,2,2,4,1に分割。
440,443からの松葉dimがコルトーにはない。井口は442から一旦松葉crescがある。460からの松葉crescが井口は松葉dimになっている。464,3拍目の右手リズム、コルトーは8分音符二つにしている、他は424と同じ。467からの右スラー、ヘンレは480までと497まで、コルトーは2、2/3、2+1/3、4、4、4、5、3、8、パデレフスキーは5、4、8、8、8、井口は9、4、4、5、3、4、4、に分割。
489を頂点とした松葉のふくらみがコルトーにはない。井口は476~480に松葉crescがある。各版にある497を頂点とした松葉のふくらみのcrescがヘンレにはない。500のdimがコルトーにはない。ヘンレは506,8の終わりでスラーを離している、他は508頭まで。508最後にコルトーはmf。ヘンレは509から556まで一つのスラー、いくらなんでも大雑把過ぎる。
井口のスラーは大きなつかみがなくてよくない。コルトーとパデレフスキーは前者が頂点からの下降で細かく分けるのに対し 後者は大きくつかんでいるということ。そして解釈の分かれ目は527~8をどう位置づけるかというところにある。513のpがヘンレにはない。ヘンレは518,533に松葉の頂点が、井口は523にもあって、コルトーにはまったくない。517右、ヘンレと井口はアルペジオ、井口にはアクセントもある。521、541、549に井口はp。541、545、553、557右頭に井口はアクセント。549のsmorzがコルトーと井口にはない。549に井口は松葉 crescがある。552の松葉dimがヘンレでは553.553右コルトーと井口はアルペジオ。555左頭のアクセントがコルトーにはない(以下5回同じ)。
553からの右スラーはコルトー(8,8,4,6)かパデレフスキー(8,8,10)がまともであると思う。578にヘンレはp、他は579。ヘンレは松葉dimが579終わりまであるがおかしいだろう。579,583,585左2拍目にコルトーと井口はアクセント、ヘンレとパデレフスキーは585だけ。井口は593にp
601にヘンレはin tempoとある。601のfがコルトーはfzになっている。610、コルトーはアクセント、他は松葉dim、井口はすぐに松葉cresc(この形、いつでもつけている、趣味でしょうな)。611休符の後のスラー、コルトー、井口は612まで、パデレフスキーは613まで、ヘンレは614まで。613にコルトーはテヌート、井口はf。
617頭にコルトーはスタカートがない、625のアクセントもない。コルトーとパデレフスキーには620、652を頂点とした松葉のふくらみがある。井口は620、652から次の音だけにスラーがある。626からコルトーだけはスラーが628と631~2にしかない。井口は松葉のdimがある、他は松葉crescだけ。636の松葉dimがヘンレにはない。ヘンレは637頭にアクセントがある。
637からの松葉crescがヘンレにはない。642~4のスラー、パデレフスキーは645まで、コルトーと井口は休符で離れる。643から井口は松葉cresc。645に井口はf、ヘンレとパデレフスキーはアクセント、コルトーはテヌート。646~8、コルトーと井口はスタカート。649~50のスタカートがコルトーにはない。657、665のスタカートがコルトーにはない。
658のアクセントが井口にはない。662からの松葉dimがヘンレにはない。666、682に井口はp。669、685左Hのアクセントがコルトーにはない。673に井口はアクセント。673からヘンレは長い松葉dim、他は松葉ふくらみ。681のスタカートがコルトーにはない。690~1の左Fis、ヘンレはタイがない。691、コルトーはアルペジオがなく、ヘンレは左もアルペジオ。693左、コルトーはアルペジオがない。
689からの右スラー、ヘンレとコルトーは4,5に分割、パデレフスキーは(4,3,2)井口は(2,2,3,2)。このフレーズの最初に井口は松葉cresc、他は松葉dim。697にパデレフスキーと井口はスタカート、ヘンレとコルトーはない。698、714に井口はp。705にパデレフスキーはスタカート。709にコルトーとパデレフスキーはテヌート。
719左、コルトーはすべて付点2分音符、パデレフスキーと井口はGisが四分音符、ヘンレはCisも4分音符。井口は720にcresc。721、729のスタカートがコルトーにはない。721のfzがヘンレにはない。722、井口はf、他はff。732のスラーがコルトーは休符を超えて次まで。737~8のスラーがヘンレにはない。732、井口はf、パデレフスキーはアクセント、コルトーとヘンレは松葉dim。パデレフスキーは次に松葉dim。井口は738を頂点とする松葉ふくらみがある。
745の2分音符をパデレフスキーは4分音符にしてスタカートを付けている。746からヘンレとパデレフスキーは5小節のスラー、井口とコルトーは3,2に分割。747からの松葉dimがコルトーにはない。753からパデレフスキーと井口は調号をAsに変えている。753に井口とコルトーはmf。ヘンレは761まで長いスラー、他は756で一旦離れる。
757~9、789~792の左にコルトーはテヌート。757にパデレフスキーはアクセント、井口は松葉dim。762、ヘンレだけはアルペジオがすべての音についている、他は左だけ。762からの右スラー、パデレフスキーは768、ヘンレは764まで、他は休符で離れて764まで。井口は休符の後に松葉cresc。765、ヘンレとコルトーは松葉dim、パデレフスキーと井口はアクセント。
777のスタカートがコルトーにはない。778、コルトーはf、井口はp、コルトー以外はアクセントがある。785の右スラー、ヘンレは792終わりまで、コルトーと井口は793まで、パデレフスキーは788までと793まで。785からの松葉crescがヘンレにはない。井口は789に松葉dim、789~792左にスラー。794からの右スラー、ヘンレは796まで、パデレフスキーは801,1拍目まで、他は休符までと796まで。
794からの松葉dimがコルトーにはない。休符の後に井口は松葉cresc。797にコルトーと井口は松葉dim、パデレフスキーはアクセント。801、809のスタカートがコルトーにはない。804を頂点とした松葉のふくらみがパデレフスキーにある。パデレフスキーは801、2拍目から809までのフレーズ、ヘンレとコルトーは808~9だけにスラー、井口は804~5にもスラー。井口は809にfz。
810にコルトーはf、コルトーとヘンレは松葉dim、パデレフスキーと井口はアクセント。813のスタカートがコルトーにはない。819左のスタカートがコルトーと井口にはない。819にコルトーとパデレフスキーはleggiero。820からコルトーは左に長い松葉dim、パデレフスキーは821に松葉dim、ヘンレはアクセント。822,4,838左のスタカートがコルトーにはない。
823左頭、コルトーとパデレフスキーは松葉dim、ヘンレと井口はアクセント。835左コルトーにはスタカートがない。833に井口はmf。833左頭のアクセントがコルトーにはない。840左スタカートがパデレフスキーと井口にある。井口は834後半に松葉dim、836左にアクセント。837,9左頭にコルトーとパデレフスキーは松葉dim、ヘンレはアクセント、井口は839だけアクセント。
井口は841にf。849、857からの右スラー、ヘンレ、井口は8小節、パデレフスキー、コルトーは5,3に分割。849からの左はヘンレは4,3、他は852のFisのスタカートで分かれる(コルトーにはスタカートはない)。856の右最後のアクセントがコルトーにはなく、しかも4分音符を8分音符と休符に変えている。井口は849にp。
857からの左はヘンレとコルトーが7小節のスラー、パデレフスキーと井口は2音目からスタカートのFisまでと残り、井口は863左、ヘンレはDis、他はFis。864のアクセントがコルトーにはない(ここは4分音符になっている)。865からの右スラー、ヘンレは2,2,4、他は8小節。左は井口がスタカートを除いて2,2,3に分け他は7小節。
865に井口はp。873~4にコルトーとパデレフスキーは松葉dim、井口はcresc。873からの4小節の右スラー、ヘンレは2,2に分割。左スラー、ヘンレは876から881、コルトーは876から880終わりまで、パデレフスキーと井口は877から880終わりまで。877からの松葉dimがヘンレにはない。877からの右スラー、ヘンレは5小節と残り、パデレフスキーは4と残り、井口は4,5で残り、コルトーは4,7(888にはスラーがない)。
パデレフスキーと井口は877左から松葉cresc、881からcresc、888に向けてヘンレ以外は松葉cresc。888右頭ヘンレとコルトーは4分音符、コルトーはその後上声に4分休符、8分休符(だからスラーがない)。889頭ヘンレと井口はアルペジオがない、コルトーはf、パデレフスキーとコルトーはスタカートがない。
882~8の左スラーがコルトーにはない。891からの右スラー、コルトーは892終わりまで(895、899からのも同じ)。893右頭、井口はスタカート(以下3回同じ)。井口は893からの左右8分音符のたびにpがある。895からの 松葉crescがコルトーにはない。909頭の記譜法が版によって違うが奏法は同じ
912上声付点4分の後でコルトーはスラーを離している。924左2~3拍目Aがコルトーは2拍目でおしまい、同じく924小節、左1、2拍目、コルトーはテヌート。926にコルトーは松葉cresc。927にパデレフスキーは松葉cresc。929のpiu prestoに井口はpoco a pocoを付けている。939にヘンレ以外はf。939,940右3拍目、パデレフスキーと井口はスタカート、コルトーは940だけ。
各版とも943、947頭でスラーを離しているがパデレフスキーだけは944、948まで一続きのスラー。コルトーとパデレフスキーは943に松葉dim、ヘンレは943後半から松葉cresc。944~5にスラーがかかっているのがヘンレとパデレフスキー。948,949右コルトーとパデレフスキーはアクセント、井口は948少し前から松葉crescで949はアクセント。
946~7左にパデレフスキーはスラー、コルトーと井口は946、1~2拍目にスラー、948,9もそれぞれスラー。パデレフスキーは947最後から948終わりまでと949にスラー。パデレフスキーとコルトーは947に松葉dim、ヘンレと井口は947後半から松葉cresc。948,9の左の松葉dimがヘンレにはない。
949~952までヘンレは各小節に松葉dim、コルトーは949から951まで、パデレフスキーは950から952まで、井口は950、951頭にアクセントがあり、950から松葉crescえ952にff。959に井口はスタカート。960、ヘンレは松葉dim、他はアクセント。961頭、ヘンレにはスタカートがない。966にコルトーはff。967にコルトーと井口はアクセント。
○あとがき
4つの版を見比べるというのは結構しんどい作業でしたが、集中的にしてみると各版の相違がよく分かりました。結論から言えば、どれか一冊選べと言われればパデレフスキー版を私は推します。ヘンレはもちろん定評のある原典版ですが、ショパン自らのスラーの付け方がフランス・ドイツ各初版によって異なっていたり、生徒に使った楽譜でまた違うスラーを書いたりと結構気まぐれなので、その「気まぐれの一例」位の意味しか持たないような気がします。
そして事実、ときどきびっくりするようなスラーがあります。パデレフスキーは時々原典を逸脱してますが、おおむね忠実で原典の中の首をひねる部分を修正しているという感があります。井口とコルトーは大きく原典とは異なります。コルトーはさすがにショパン弾きとして鳴らした名ピアニストらしく、そのユニークで微妙な解釈、そして膨大な注釈は参考になります、持っていれば十分役に立つでしょう、全部従おうとは思いませんが。
井口は正直なところ使えないという感がします。原典の修正があまりにも類型的と言うか、自由な解釈の邪魔にしかならないと思われます。やたら強弱記号を書き込むし、松葉は必ずといっていいくらい両方向(ふくらみ)にしてしまう。同じ恣意的といってもコルトーとは比べ物にならないという気がします。
番号 | 難易度 | 推薦 | |
1 | Op.9-1 | 18 | ☆ |
2 | 2 | 16 | ☆ |
3 | 3 | 23 | |
4 | Op.15-1 | 25 | ☆ |
5 | 2 | 23 | ☆ |
6 | 3 | 16 | ☆ |
7 | Op.27-1 | 23 | ☆ |
8 | 2 | 25 | ☆ |
9 | Op.32-1 | 17 | ☆ |
10 | 2 | 19 | ☆ |
11 | Op.37-1 | 16 | ☆ |
12 | 2 | 22 | ☆ |
13 | Op.48-1 | 26 | ☆ |
14 | 2 | 19 | ☆ |
15 | Op.55-1 | 17 | ☆ |
16 | 2 | 21 | ☆ |
17 | Op.62-1 | 23 | ☆ |
18 | 2 | 24 | ☆ |
19 | Op.72-1 | 18 | ☆ |
20 | 遺作 cis | 15 | ★ |
21 | 遺作 c | 14 |
イギリスの作曲家フィールドの創始したノクターンという形式を借りてショパンは21曲のノクターンを書いた。
第1番変ロ短調 Op9の1
1830~31年の作。未だフィールドの影響を抜けきっていないとも言えようが、右手の悩ましい旋律はまぎれもなくショパンのものである。ピアノという楽器が声楽同様、いやそれ以上に「歌う」ことが可能であることを証明してみせた作品である。
第5番嬰ヘ長調 Op15の2
1830~31年の作。ノクターンの中では最もポピュラーなものの一つ。
第15番ヘ短調 Op55の1
1843年の作。「荒野を一人ぼっちでとぼとぼ歩く」とでもいった感じの主題、中間部はやや派手で短い再現の後にコーダが来る。
番号 | 難易度 | 推薦 |
1 C | 23 | ☆ |
2 a | 14 | ☆ |
3 G | 24 | ☆ |
4 e | 12 | ★ |
5 D | 25 | |
6 b | 13 | ☆ |
7 A | 9 | ☆ |
8 fis | 25 | ★ |
9 E | 13 | |
10 cis | 20 | ☆ |
11 H | 20 | ☆ |
12 gis | 25 | ☆ |
13 Fis | 16 | ☆ |
14 es | 20 | ☆ |
15 Des | 16 | ★ |
16 b | 25 | ☆ |
17 As | 19 | ☆ |
18 f | 23 | ☆ |
19 Es | 25 | ☆ |
20 c | 10 | ☆ |
21 B | 18 | ☆ |
22 g | 20 | ☆ |
23 F | 23 | ☆ |
24 d | 26 | ★ |
Op.45 | 21 | ★ |
遺作 As | 20 |
番号 | 難易度 | 推薦 | |
1 | Op.26-1 | 21 | ☆ |
2 | Op.26-2 | 22 | ☆ |
3 軍隊 | Op.40-1 | 23 | ☆ |
4 | Op.40-2 | 19 | ☆ |
5 | Op.44 | 27 | ★ |
6 英雄 | Op.53 | 27 | ★ |
7 幻想 | Op.61 | 27 | ☆ |
8 | Op.71-1 | 24 | ☆ |
9 | Op.71-2 | 23 | |
10 | Op.71-3 | 22 | ☆ |
11 | 遺作 ト短調 | 11 | |
12 | 遺作 変ロ長調 | 11 | |
13 | 遺作 変イ長調 | 13 | |
14 | 遺作 嬰ト短調 | 22 | |
15 | 遺作 変ロ短調 | 22 | ☆ |
16 | 遺作 変ト長調 | 23 | |
アンダンテスピアナートと華麗なる大ポロネーズ | Op.22 | 27 | ☆ |
以下、松葉のふくらみと書いてあるのはcrescとdimの両方があることを示す。
ポロネーズ1番
4小節テーマの入り、パデレフスキーはかっこつきのp、コルトーはf。6小節3拍目のAでスラーが終わっている版が多いが、
ヘンレ、パデレフスキーとも7小節頭までつながっている。コルトーはそこの松葉のcrescにpoco accまで書いてある。
コルトーは7小節の終わりに少し遅くの指示。コルトーは12小節に松葉のdim、まあこれはごく普通。25小節の
ソットヴォーチェは神秘的に、その部分のアルペジオはいわゆるローリングで一気に弾くこと。33小節、コルトーは
松葉のdim、これも普通。34小節左の松葉crescがコルトーにはない。34小節コルトーはp、パデレフスキーは
かっこつきでp、ヘンレはない。以下40までコルトーには細かいデュナーミクがある。42小節目の再現にコルトーは
「衝動的に、性急に」の指示。46のp、ヘンレにはない。48にコルトーはpp。
50にコルトーはp、そこの松葉のcresc、コルトーは最後にdimを付け加えている、51後半にも松葉の膨らみ。 58最後にコルトー、パデレフスキーはdolciss、コルトーはさらに松葉のdimも。こういうところは機械的に正確に弾いてはいけない。 59の2~3拍の松葉のcrescをコルトーは無視。62~3にコルトーは松葉のdim、パデレフスキーは(dim)、ヘンレは何もない。 63の3拍目にコルトーはさらに松葉のふくらみがある。64の頭にコルトーはp、65後半に松葉のdim。
66のpがパデレフスキーにはない。コルトーはさらにmolto espressivo。69、73にコルトーは松葉のdimがあるが これはつけない手も十分考えられる。74にコルトーはdolce、パデレフスキーもカッコつきで同じ。77の左fが コルトーにはない。78左2拍目から80の1拍目までコルトーはスラー。ヘンレとパデレフスキーはそこにはスラーはなく、 80の頭から81終わりまで。82頭、コルトーはfp、パデレフスキーは(f)。
ポロネーズ2番
この序奏は「陰謀に満ちている」(ニークス)。10小節みぎの音階、ショパン自らがDesをDに直したものがある
らしい。17,18小節左手2拍目裏にコルトーはアクセント。21小節から「弱まったファンファーレ」。ヘンレは25小節頭の
アクセントがない。29,31左最初の三つにコルトー、パデレフスキーはスラー。34,36小節1拍目裏に
コルトーはf。45にコルトーはpp、パデレフスキーは(p)。
中間部はロシアに対し反抗しシベリア流刑の目にあうポーランド人のコーラスの弱々しい響き、と言っている人がいる。 71の2拍目からは微かな希望のきらめき。同じ71の2拍目からコルトーとパデレフスキーはスラー、ヘンレは72の 1拍目までスタカート、72の2拍目から73の1拍目までスラー。69のソットヴォーチェがヘンレにはない。 コルトーはu.cの指示まで含めるとしつこく何度もある。75の2拍目から76終わりまでコルトーはスラー。 パデレフスキーは76の頭でスラーがいったん終わって二つのスラー、ヘンレは前半スタカートで後半スラー。 なおコルトーには松葉のふくらみあり。103~104、各版によって音が違う。一番の問題は103の2拍目を GisにするかFis(ヘンレ)にするか。
172の前にヘンレはフェルマータがある。当然そうすべきである。
ポロネーズ3番
軍隊ポロネーズとして有名な作品であるが、私見では作品番号のついたポロネーズの中では一番面白くない作品だと思う。
曲想の変化がなさ過ぎるのである。
ヘンレには1、3,5小節3拍目のスタカートがない、6小節の連打にもない。5小節頭にコルトーはffz。 7小節右ヘンレは丸々スラー、パデレフスキーは2音目からスラー、コルトーは頭スタカートで2音目から2拍終わりまでと残りの 二つのスラー。9小節1拍目の右のスラーは音の塊を示しているだけで演奏は不可能、コルトーは省いている。パデレフスキーは 13にもある。11小節2拍目から12小節2拍目頭までの右スラー、コルトーは3音だけしかなくて12小節の3音にはアクセント。 12小節後半の連打にコルトーはスタカート、パデレフスキーは6にはあったがここにはない、ヘンレはこの形にはない。
16終わりにコルトーは(poco rit)、これはまあ妥当。ヘンレは25~26、27~28と右にスラー。これも実際的には演奏不可能だが何となくニュアンスは判る。 25の左でポロネーズリズムをはっきり刻むこと。31~2、ヘンレは31の1,2拍目頭だけスタカート、パデレフスキーは 31の3拍目がアクセントでスタカートなし、他すべてスタカート、コルトーは31の終わりから32の頭にスラー、 それ以外すべてスタカート。33右1拍目ヘンレは四分音符、当然次へのスラーもないこれを採用するかどうかで だいぶ演奏は変わる。36、2拍目からコルトーだけ松葉のdim、他は逆にcresc。39頭にコルトーはf、松葉のcrescがあって 2拍目裏にmp、また松葉のcrescで次の2拍目にfz。
57,59の32分音符にヘンレはスタカートがある。ほとんど演奏不可能だと思うが、パデレフスキーは削っており、 コルトーは逆にスラー。61,3拍目にコルトーは松葉のcresc。64頭にコルトーはfz。次の連続トリルは後打音なしで 5つずつ、急ブレーキをかけて7つずつでもいい。
ポロネーズ4番
Op.40の二曲がポーランドの栄光と不幸を現している。ヘンレは最初の繰り返しがなく、2度同じことを(強弱記号は違う)
ショパンは記している。つまり他の版の最初の繰り返しは絶対につけなければならない。コルトーは最初のスラーを
2小節までにしている。3小節からの左スラー、コルトーは演奏家らしく休符の後から、そして小節の終わりまで。
以下6まで1小節ずつ。5~6の左スラーはヘンレにはない。コルトーは7の2拍目から8の1拍目までのスラー、
ヘンレ、パデレフスキーは7全部と8から10の1拍目までのスラー。確かに7の1拍目と2拍目は微妙に離すほうが
強烈な表現にはなるかもしれない。
右9小節2拍目裏からのスラー、ヘンレは10小節頭まで、コルトーは9の終わりまでパデレフスキーは11の頭まで。 11の1拍目裏にコルトーはp。11,1拍裏から長いスラーだが、コルトーは大分細切れにしている、参考にはなる。 15の頭にコルトーはf。(以下ヘンレは16小節足して考える。たとえば他の20小節=ヘンレの36小節)
右19の終わりからコルトーは20終わりまでの長いスラーにしている。21終わりからはちょうど1小節を2回、 以下4音ずつで25の終わりからは同じ、でかくスラーの頭に全部アクセントがある、さすがにこれは個性的。 26頭にコルトーはf、すぐ後にdim、ヘンレはdimがあるだけ、パデレフスキーは何もなく30にdimがある。 コルトーは28~9、32~3に松葉のふくらみ。コルトーは34にp、35にperdendosi、37にpp。
40にコルトーはf、パデレフスキーは(f)。44頭にコルトーはrf、48、1拍目裏にp。52にf、55にp。 56のp、sostenutoがヘンレにはない。57後半から58にこるとーは松葉のdimがある、普通の解釈だろうが、そうしなくてもいい。 61右のスラーをこるとーは2音目からにしている。おまけに他版と反対に松葉のcresc。62、2拍目にコルトーはf。 63,2拍目にコルトーはdim。64からの右スラー、ヘンレとパデレフスキーは一回目と大きく変わるがコルトーは同じ。 64頭にコルトーはp、65,3拍目にcresc、66,3拍目にf、68頭にdim、70にp。71からの右スラーを コルトーは大分変えている。確かにそのほうがより自然ではあるが・・参考程度でしょうね。77にコルトーは cresc、パデレフスキーは(cresc)。77からの右スラー、ヘンレは82終わりまで。さすがにこれは他の版は修正している。 82,1拍目を頂点にコルトーは松葉のふくらみ。
97にコルトーはp。101からの右スラー、ヘンレは3小節ある、さすがにこれも他版は各小節ごとに変えている。 コルトーは109をfにしている。いったん少し弱くしてからクライマックスにもっていけということであろう。そして 113から4に松葉のcrescがあり115がff。最後の二音の間に松葉のdim。
ポロネーズ5番
19世紀のポーランドは弱小国で隣国のロシア、プロシア、オーストリーに二度にわたって分割され滅びてしまう。ショパンがワルシャワからパリに出た直後にもロシアの圧力をはね返そうとした革命運動が起こり逆に弾圧される。ショパンのポロネーズにはそういうポーランドの悲劇を表したものが少なくない。その中でも最も大規模なものがこれ。技巧的にもポロネーズ中最も難しく、中間部にマズルカが顔を見せるなど極めて独創的でもある。1840~41年作。
4小節終わりから8小節までのスラー、ヘンレは二つだけ、パデレフスキーは大体8音ずつ、こるとーはさらに細かく分けている。8小節終わりでコルトーはブレス、これは当然。コルトーは9~13の頭まで、左すべてにテヌート。 11~16の右手スラーは各版でみな異なる。コルトーは解りやすいといえば解りやすいが、ショパンの微妙な意図を 消した可能性はある。16の終わりにもコルトーはブレス。
17頭にコルトーはf、18終わりに松葉のdim、19に(mf)、20に松葉のcresc、21にpiuf。21からの 形、コルトーは1拍ずつのスラー、他の版にはないが、こう弾くべきものと思う。24,2拍目の後コルトーはブレス。 27からと31からの同一の形でヘンレはスラーが異なる、パデレフスキーとコルトーは最初の形にそろえている。 何とも言えない。27のf、ヘンレにはない。
35にコルトーはpiu f。35~8の左最終音と、36~9の左最初の音にコルトーはテヌート。私も故M先生に そう習った記憶がある。45にコルトーは(mf)、46に松葉のcresc、47にf。50,2拍目後にコルトーはブレス。
53からの同一形二回、ここはヘンレも二回とも同じスラー。53,3拍目のコルトーのスラーは左手のテヌート を考慮すると(コルトー版だけのテヌート)やや不整合に思われる。私はここの右はつなげない。81~2にコルトーは 松葉のふくらみがある。
84~6の頭だけ、ヘンレにはアクセントがない、他は補っている。102にコルトーはpoco rit、まあ妥当。 102終わりにコルトーはmf、110に松葉のcrescがあり、111にff。105、109の1拍目、コルトーは8分音符、 16分休符、16分音符としている。他は普通の付点のリズムでスラーも離れていない。
125,6とヘンレにはスタカートはない。そして125終わりから127頭までスラー、ここはヘンレの指示には 大きな意味があるかと。127で4分音符がこれまでの8分音符と同じ長さになる。129からのスラーは長いのが139まであるのだが コルトーはかなり恣意的に変えている。逆に143、163頭でスラーが離れるのをコルトーはつないでいる。このマズルカ部分の コルトーのスラーは他版とはぜんぜん異なるので注意。コルトーは145にpoco cresc、147にp、149にmf。 パデレフスキーは149に(cresc)、153に(dim)、157に(cresc)。
166,167の1拍目のリズムの形がコルトーは他の二版と反対。168右頭のDがコルトーは抜けている。 168~9、172~3,181~4にコルトーは松葉のふくらみ。165~8にパデレフスキーは松葉のふくらみ 181~4にも。184、左2拍目にコルトーはアクセント。
186にコルトーは(p)、パデレフスキーは(cresc)。192にパデレフスキーは(dim)。204にコルトーは poco cresc。207にコルトーはf、パデレフスキーは(piu forte)。219にコルトーは松葉のdim、220,1拍目裏に p。224にコルトーは(poco accel)、227に(cedendo)228に(a tempo)。また224にコルトーはsempre p、 227~8に松葉のふくらみ。パデレフスキーは224~7に松葉のふくらみ。
コルトーは231~2に松葉のふくらみ。235の終わりにコルトーは(’)。240にコルトーはpiu pがあり (はずみをつけて)とある。244にコルトーは(cedendo)。242と244にコルトーは松葉のふくらみ。パデレフスキーは 241~4に大きな松葉のふくらみ。245の松葉のふくらみをコルトーは省いている。246にコルトーはdim、 パデレフスキーは(dim)。249、256にコルトーはpoco rit、次当然a.tempo。
261からの再現、コルトーは右手を単音、左手をすべてオクターブにしている、二回とも。268からしばらく 原典にはスラーがない。ヘンレは276からある。パデレフスキーの275からのスラーはちと首をひねる。コルトーは 277後半に松葉のdim、278に(mf)、279に松葉のcresc、280にf。286にコルトーはf。293に 松葉のcresc。293、3拍目の左手、ヘンレは1音目と2音目が入れ替わっている。
294にコルトーはff、303後半に松葉のdim。304がp、305に松葉のcrescで306がf。パデレフスキーは 304に(p)。コルトーは313のさいご二音にテヌートで314は(a tempo piu largo)とある。316後半に コルトーは松葉dim。
この曲のヘンレのスラーは例によってショパンの気まぐれな指示と思われるものがあって、そのままには従いにくいのだが、 コルトーの改変も微妙に首をひねるものがあり、参考程度にしかならないと思われる。
アンダンテスピアナートと華麗なる大ポロネーズ
私の所持しているのはエキエルの原典版と全音のピースである。
本来管弦楽つきであったが、現在はほとんどソロで演奏される。
アンダンテスピアナートの部分は過度な表情を付けずに平坦に。
ポロネーズの手前の本来オケの部分、ソロで弾くときは当然省かずにピアノで弾くことになる。
アンダンテスピアナート
テンポは4分音符69だが、ショパン自らレッスンで63と付け加えた楽譜があるらしい。
3~4小節の全音の松葉dimはエキエルにはない。5小節のpもない。5と6の間でエキエルはスラーが離れている。 6の終わりからのスラーは9の終わりまで。9と10の間は離れている。8~10の松葉のふくらみもない。 10の終わりからのスラーは12まで。12の装飾音Hを左手Gに合わせる。
15小節右はHで一旦スラーは終わり。15小節後半に松葉のcresc。18の松葉dimはない。18の終わりからではなくて、 19の頭からスラー。20~21の左のG-Fis-Eのラインを大事に。21のpもない。右のスラーは21~22、23だけ、24だけ。 24、28の松葉dimはない。25のpもない。スラーは25~6、27~30の頭。29、3拍目のpもない。
30の松葉crescなし。31のpもなし。37のpもない。スラーは37の頭で一旦切れ、次はDとEだけ、 38,39各1小節、41装飾音の最高音Hから終わりまで。お終いのEから次の小節のGまで、43から44まで (44のCのスタカートは無論ない)。43頭のAは付点4分音符で、装飾音をその間にどう入れるかは自由、全音は 一つの可能性というだけ。
スラーは45だけ、46だけ、47~8。47~8の松葉のふくらみはない。49終わりからの右スラーはない。 52頭から6度の終わりまでスラー、その最後に楔形のスタカート。なお全音は2音目から6音目までのオクターブ 上の記号が落ちている(ミスプリ)。55~56,59~60の4音目のテヌートおよび4分音符はエキエルにはない、 その解釈はありうるが。65のpppはない。
67のpはない(まあ、妥当ではある)。69の1拍目のスタカートは72に準じて補われたもの、ここらへんショパンは書き方が不統一。 スラーも両版で異なるが、エキエルは不統一のままにしてあって、必ずしもそれがいいと断定は出来ない。95のritもない。
97はpではなくpp。スラーは98の終わりで一旦離れている。99~100、103~105、前と同じ。 106の終わりでスラーは離れている。最後のスラーは111~112,113~114、この方がすっきりしている。
ポロネーズ
5小節、全音はpだがエキエルはf。9のpiu crescはない。17のpもない。20の松葉dimもない。 25~6の松葉dimもない。31のfもない。33,Cでスラーが一旦離れている、全音は37に揃えたものと思われる。 38の松葉のふくらみはない。39の松葉dimもない。
48~9の松葉のふくらみはない。51~2,53~4の松葉dimはない。55のスラーは頭のGで一旦離れている。 55、2拍目のpはない。56のスラーはEsから。57のスラーは58,3拍目のFまで。60最後のスラーは 61頭で終わり、61残りは装飾音Aから62の終わりまで。63のスラーは64頭まで。63終わりの松葉dimなし。
65終わりの松葉のふくらみなし。67のスラーは、1拍目の4音、次の6音と残りの3つ。68のpも 69のfもない。69,70の左のスラーはない。
77,2拍目のアクセントはない、全音は81に揃えたものと思われる。84小節1拍目裏の右和音、原典は全音なのだが、 通常80のように、表の和音の1オクターブ上を演奏する(この曲の作曲された時代に、ピアノの鍵盤がそこまでなかった)。
85のpはない、これはちょっと考えるところ。右スラーは85~6、87だけ、88は3拍目のAsまで、次のGから 90の終わりまで。89~90の松葉crescはない。93のpはない。93~5の分散和音での松葉のcrescはない。 95の1拍目は8分+16分の3連が普通だが、16分音符4つになっている楽譜がある。
97からの右スラーは101頭まで。101の右最後の音、全音はF、エキエルはG、ここは両方あるらしい。 102,3拍目右頭のアクセントが全音は抜けてる。102の左の全音の松葉のふくらみはほとんど意味不明。 右スラーは107~8、109~110、ただこれらは二回目と整合が取れていない、全音は整理してしまっているが なんともいえないところ。114と5の間スラーは切れていない。
130左G音のタイはない。132全音の左EsとAのフェルマータは補ったもの。まあ、論理的にはないとおかしい。 134~6右頭のアクセント、エキエルにはない。137はアクセントは2音目にあるが、スラーはそれまでと同じ。 全音は145のスラーも137にそろえているが、これはおかしいだろう。
149のa tempoはエキエルにはない。全音は149に151と揃えてアクセントをつけている、エキエルは 右最後の音だけ。150,152のスラーは各拍ごと、終わりにスタカートはない。150~1、152~3の 松葉dimもない。160のpoco ritはない、まあ、ここは普通つけるが。
161のpはない。以下220まで初めと同じ。
223、227のmpはない。224、228の松葉のふくらみもない。229のpもない。232左各拍上の アクセントなし。231のスラーは239頭まで。239~240のアクセント、全音は最終音、および右に対応した左 にもある。この形の2度目もほぼ同じだが、251のスラーは252まで、以下253,254、255~259頭となっている。
264のtutti、エキエルは松葉crescがあり、スラースタカートはない。268の方は何もない。265のfはない。 277,278頭,279のアクセントはない。
ショパンのオーケストレーションの下手さ加減には定評がある。管弦楽法などには全く素人の私の眼にも相当のものであることが解る。(さりながらピアニストにとってのショパンの価値はそれによっていささかも損なわれるものではない。ショパンはそれほどにもピアノ一筋に生きた!のである)かくて本来管弦楽を伴っていたこの曲は、いつのまにやらピアノ独奏で弾かれる運命となった。やや技巧誇示的にすぎる感もあるが、前半の優美なアンダンテ、哀愁を帯びた第二主題、燦然たるコーダ、若きショパンの総決算たるにふさわしいと言える。1830~31年の作曲。
番号 | 難易度 | 推薦 | |
1 | Op.6-1 | 16 | ☆ |
2 | 6-2 | 15 | ☆ |
3 | 6-3 | 18 | |
4 | 6-4 | 14 | ☆ |
5 | Op.7-1 | 14 | ☆ |
6 | 7-2 | 15 | ☆ |
7 | 7-3 | 18 | ☆ |
8 | 7-4 | 17 | |
9 | 7-5 | 11 | |
10 | Op.17-1 | 18 | ☆ |
11 | 17-2 | 16 | ☆ |
12 | 17-3 | 18 | |
13 | 17-4 | 17 | ☆ |
14 | Op.24-1 | 15 | ★ |
15 | 24-2 | 16 | ☆ |
16 | 24-3 | 15 | |
17 | 24-4 | 19 | ☆ |
18 | Op.30-1 | 17 | ☆ |
19 | 30-2 | 16 | ☆ |
20 | 30-3 | 20 | ☆ |
21 | 30-4 | 21 | ☆ |
22 | Op.33-1 | 16 | ☆ |
23 | 33-2 | 21 | ☆ |
24 | 33-3 | 16 | |
25 | 33-4 | 21 | ☆ |
26 | Op.41-1 cis | 22 | ☆ |
27 | 41-2 e | 16 | ☆ |
28 | 41-3 H | 19 | |
29 | 41-4 As | 22 | ☆ |
30 | Op.50-1 | 20 | ☆ |
31 | 50-2 | 17 | ☆ |
32 | 50-3 | 20 | ☆ |
33 | Op.56-1 | 24 | |
34 | 56-2 | 17 | |
35 | 56-3 | 22 | ☆ |
36 | Op.59-1 | 21 | ★ |
37 | 59-2 | 21 | ★ |
38 | 59-3 | 23 | ★ |
39 | Op.63-1 | 19 | ☆ |
40 | 63-2 | 16 | ☆ |
41 | 63-3 | 19 | ★ |
42 | Op.67-1 | 19 | |
43 | 67-2 | 14 | ★ |
44 | 67-3 | 15 | ☆ |
45 | 67-4 | 14 | ☆ |
46 | Op.68-1 | 18 | |
47 | 68-2 | 15 | ☆ |
48 | 68-3 | 14 | ☆ |
49 | 68-4 | 17 | ★ |
50 | 遺作 a KKⅡb4 | 18 | |
51 | 遺作 a KKⅡb5 | 21 | |
遺作 B KK Ⅳb-1 | 12 | ||
遺作 As KK Ⅳb-4 | 14 | ||
遺作 D KK Anh.Ⅰa-1 | 12 |
ショパンは生涯にわたってマズルカを書き続けた。音に託した彼の日記と言えよう。技術的にはむしろ易しいものが多いが、ほとんど本能的な音楽性、もしくは直観的理解力がなければどうしようもないものが多い。
第5番 変ロ長調 Op7の1
1830~31年作、これは非常に解りやすいマズルカ。子供にもよく弾かれる。
第14番 ト短調 Op24の1
1834年~35年の作、まさに前書きの通り。
第41番 嬰ハ短調 Op63の3
1846年作、何気ないメロディーの中に深く心を動かされるものがある。コーダでは対位法的処理が見られ、ややドラマティック。
第43番 ト短調 op.67-2
第45番 イ短調 op.67-4
いずれも平易ではあるがマズルカの中でもすぐれたものである。
○№26~29に調性を付しているのは、ヘンレ、クロイツァー版で順番が入れ替わっているからである(他の外版にもあるかもしれない)。
番号 | 難易度 | 推薦 |
Op.10-1 | 26 | ☆ |
2 | 28 | ☆ |
3 | 25 | ☆ |
4 | 27 | ☆ |
5 | 25 | ☆ |
6 | 20 | ☆ |
7 | 25 | ☆ |
8 | 27 | ☆ |
9 | 25 | ☆ |
10 | 27 | ☆ |
11 | 26 | ☆ |
12 | 25 | ☆ |
Op.25-1 | 24 | ☆ |
2 | 24 | ☆ |
3 | 25 | |
4 | 26 | ☆ |
5 | 26 | ☆ |
6 | 28 | ★ |
7 | 22 | ☆ |
8 | 27 | |
9 | 26 | ☆ |
10 | 27 | ☆ |
11 | 28 | ★ |
12 | 26 | ★ |
新練習曲 1 | 22 | ☆ |
2 | 22 | |
3 | 21 | ☆ |
○10-1 こういうのはチェルニーを一杯やってきた人間が強い。もちろんチェルニーとは比較にならない 内容なのだが。8小節4拍目Disは左で取るほうがいいと思う。手が小さい人には難しい。
○10-2 指が必ずといっていいほどもつれる難曲。右の和音の一部を左に任せることは有益。
○10-3 ご存知「別れの曲」。指示速度はもちろん中間部にのみ適用される。こういうのは1番と逆に チェルニー系ばかりしていない人のほうが楽に弾くみたい(チェルニーは重音の練習が少ない)。
○10-4 練習曲っぽくない。まとめ上げるのは結構難しい。29~30小節、右手の1部を左に任すほうが いいと思う。
○10-5 黒鍵のエチュードとして名高いが、他の名前のついたエチュードより、内容的には一段劣ると 私は思う。軽さの追求。
○10-6 表現の練習なんでしょうね。エチュードと名づけなかったら何と名づけたんだろう。名曲です。
○10-7 これは練習曲としての性格が楽曲としての性格を上回っている。
○10-8 軽やかに流れる練習とでも言おうか。そのためには左手の弾きかたを考えねばならない。
○10-9 指間の拡大の練習。表現は荒々しいくらいでいい。
○10-10 6度の練習。最初の16小節のフレージングの変化に注意(先生についている人は当然いわれるだろうが 独学の方は要注意)
○10-11 アルペジオの練習。弾き方に3通りある。すなわち、拍頭に最初の音、拍頭に最後の音、左右のアルペジオ を連結する(拍頭に最後の音)である。通常は最初の弾き方。2番目の方が演奏効果はある、3番目はまあ、趣味の問題。
○10-12 革命のエチュード。珍しく左手用のエチュードとなっている。激情と演奏の正確さをどこまで調和させられるか
「これは練習曲というよりはむしろ詩である。しかし、小さな音が一つ一つみなはっきり聞こえると考えたらまちがいで、むしろ変イの長和音のとうとうたる波が耳を打ち、ここかしこでペダルが新たに踏まれるたびに、高い波頭が打揚げるといった風に思われた。その和声を貫いて、大きな(四分音符の)驚嘆すべき旋律がきこえ、中声部ではちょうどその主要主題の歌とならんで、テノールが一度和音の波の中からあざやかに浮かび上がってきた。練習曲を聞いた後は、半ば目覚めた後で、夢にみた幸福な像を捕えようと焦る心地に似ている。こうしたことは、話すことはほとんどできないし、いわんや賞める言葉なぞまるでない」
番号 | 難易度 | 推薦 | |
1 | Op.18 | 19 | ☆ |
2 | Op.34-1 | 22 | ☆ |
3 | 34-2 | 17 | ★ |
4 | 34-3 | 21 | ☆ |
5 | Op.42 | 23 | ☆ |
6 | Op.64-1 | 16 | ☆ |
7 | 64-2 | 18 | ★ |
8 | 64-3 | 20 | ☆ |
9 | Op.69-1 | 16 | ☆ |
10 | 69-2 | 15 | ☆ |
11 | Op.70-1 | 20 | ☆ |
12 | 70-2 | 16 | ☆ |
13 | 70-3 | 18 | ☆ |
14 | 遺作ホ短調 | 21 | ★ |
15 | 遺作ホ長調 KK Ⅳa-12 | 16 | |
16 | 遺作変イ長調 KK Ⅳa-13 | 16 | |
17 | 遺作変ホ長調 KK Ⅳa-14 | 20 | |
18 | 遺作変ホ長調 KK Ⅳb-10 | 12 | ☆ |
19 | 遺作 イ短調 KK Ⅳb-11 | 12 |
ショパンはワルツを19曲作っている。(ポーランドの出したショパン大全集による。20曲、21曲と書いてある書物もある)そもそもワルツは18世紀のレントラーが進化したものと考えられ、19世紀になったJ.シュトラウスの登場と共に他の舞曲を全部おしのけてしまうほど流行するのであるが、そういう舞踏会につかわれる実用的ワルツとは別の方向にショパンはワルツを進化させる。
第2番変イ長調 Op34の1
1835の作。これは実用的なワルツに近い。「華麗なるワルツ」の題にふさわしく、演奏効果という点ではショパンのワルツ中3本の指に入る。
第3番イ短調 Op34の2
「華麗なるワルツ」という題とは裏腹の陰鬱なワルツである。1831年ショパン21才の作品。ショパンの全作品を通して流れている基本的色調とでも言うべき“陰”それが最も明瞭に浮かび上がっている作品と言えよう。
第6番ニ長調 Op64の1
子犬のワルツとして有名。こういう曲は易しいといえば易しいのだが、難しいといえば難しい。自分で弾くよりは生徒に弾かせたほうが安全という曲。1846~7年の作。
第7番嬰ハ短調 Op64の2
通称はないがおそらく最も有名。解説も不要であろう。1846~7年の作。
第9番変イ長調 Op69の1
別れのワルツとして有名。甘さを通り越した退廃の匂いを感じるのは私だけだろうか――恋の溜息が聞こえてきませんか? 1835年の作。AsからGisへの異名同音転換と共に、甘い溜息は悲しみの吐息に変わる。
第12番ヘ短調 Op70の2
1843年の作品。一応短調なのであるが長調と交互に出現し、しかも全体としては長調部分の方が長いので、あまり暗い印象はなく“女性の気まぐれ”とでもいった感じがある。
第14番ホ短調 遺作
9番から後はショパンの死後出版されたもので、13番までは死後まもなく出版されたので作品番号が付けられている。15番から後は出来栄えももう一つで事実滅多に弾かれないからともかく、この14番がしばらく日の目を見なかったのは不当である。ピアニストの好む曲の一つ。1830年の作品。
18は原題は「ソステヌート」。ワルツに分類すべきでない(マズルカとかノクターンにも分類可能)と言う人もいるが、弾いてみりゃワルツであることは明らか。
○即興曲
番号 | 難易度 | 推薦 |
1. Op.29 | 21 | ☆ |
2. Op.36 | 24 | ☆ |
3. Op.51 | 23 | ☆ |
4. Op.66「幻想」 | 23 | ☆ |
○バラード
番号 | 難易度 | 推薦 |
1 | 27 | ★ |
2 | 26 | ☆ |
3 | 27 | ☆ |
4 | 28 | ★ |
ショパンのバラードは四曲とも名曲であるが、中でも最も親しまれているのは1番ではなかろうか。内容的にもバラード――譚詩曲という題名に最もふさわしいようである。ピアノを学ぶ生徒の内、初心者が弾きたがるのが「エリーゼの為に」、中級程度になると「幻想即興曲」、上級者がこの「バラ1」に憧れる、ということが多いようである。
○その他
曲名 | 難易度 | 推薦 |
ロンド Op.1 | 25 | |
マズルカ風ロンド Op.5 | 25 | |
ロンド Op.16 | 26 | |
華麗なる変奏曲 Op.12 | 23 | |
ボレロ Op.19 | 22 | |
タランテラ Op.43 | 24 | |
アレグロ・ドゥ・コンセール | 28 | |
幻想曲 Op.49 | 27 | ☆ |
子守歌 Op.57 | 21 | ★ |
舟歌 Op.60 | 27 | ☆ |
エコセーズ Op.72-3 | 21 | |
エコセーズ Op.72-4 | 21 | |
エコセーズ Op.72-5 | 22 |
○その他(遺作)
曲名 | 難易度 | 推薦 |
アルバムの一葉 | 13 | |
アレグレット | 15 | |
アレグレット&マズール | 12 | |
カンタービレ(アンダンティーノ) | 12 | ☆ |
コントルダンス | 15 | |
葬送行進曲 Op.72-2 | 13 | |
ドイツ民謡による変奏曲 | 21 | |
パガニーニの想い出 | 22 | ☆ |
春 | 7 | ☆ |
フーガ | 14 | |
二つのブーレ №1 | 6 | |
№2 | 8 | |
ヘクサメロン変奏曲 | 20 | |
ラールゴ | 11 |
○二台
○ロンド Op.73 難易度First 27 難易度Second 25
○協奏曲
№1 難易度28 ☆
№2 難易度28 ☆