あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 編曲集 

 

やさしく弾けるピアノソロ クラシックを弾きたくて 1    kmp

 今回取り上げるのはkmpという出版社。「やさしくひける~」というシリーズが10数冊出ている。それなりに人気があるのかも知れない。編曲者は一人と1グループ。

曲名 作曲者 編曲者 難易度 推薦
愛の夢 リスト ナーゴ 10
アヴェ・マリア シューベルト   10
アヴェ・マリア グノー    9  
雨だれの前奏曲 ショパン ナーゴ 14  
愛のロマンス 民謡 ナーゴ  6
アニーローリー スコット ナーゴ  7  
エリーゼの為に ベートーヴェン   13
美しき青きドナウ より シュトラウス イケダヤスヒロ  9  
英雄ポロネーズ ショパン ナーゴ 13  
乙女の祈り バダルジェフスカ ナーゴ 10  
楽興の時 シューベルト ナーゴ 10  
かっこう ダカン (ナーゴ) 12
革命のエチュード ショパン ナーゴ  8
狩の歌 メンデルスゾーン ナーゴ 11  
華麗なる大円舞曲Op18  より ショパン ナーゴ 14  
カノン パッヘルベル ナーゴ 11  
グリーンスリーブス 民謡 ナーゴ  6
軍隊行進曲 シューベルト イケダヤスヒロ 15  
月光の曲 ベートーヴェン ナーゴ 14
結婚行進曲 メンデルスゾーン   10  
幻想即興曲 ショパン イケダヤスヒロ 18  
子犬のワルツ ショパン ナーゴ 15  
交響曲第8番 第4楽章 ブルックナー ナーゴ  9
四季 より 春 ヴィヴァルディ イケダヤスヒロ 17  
シシリエンヌ フォーレ イケダヤスヒロ 11  
交響曲第9番「新世界」4楽章 ドヴォルザーク イケダヤスヒロ 13  
同上           2楽章 ドヴォルザーク イケダヤスヒロ  9  
大地の歌 3楽章 マーラー イケダヤスヒロ  9  
タンホイザー序曲 より ワーグナー ナーゴ 10  
天国と地獄 序曲 オッフェンバック イケダヤスヒロ 15  
展覧会の絵 ~プロムナード ムソルグスキー ナーゴ 10
トッカータとフーガ BWV565 より バッハ ナーゴ 12
トルコ行進曲 モーツアルト イケダヤスヒロ 12  
ニュールンベルクのマイスタージンガー ワーグナー ナーゴ 10  
ノクターン  ショパン ナーゴ 11  
白鳥 サンサーンス ナーゴ 10  
花のワルツ チャイコフスキー ナーゴ  8  
花の歌 ランゲ ナーゴ 10
春の歌 メンデルスゾーン イケダヤスヒロ 12  
春の声 J.シュトラウス2世 イケダヤスヒロ 10  
ピアノ協奏曲 第一番 チャイコフスキー イケダヤスヒロ 10  
ピアノ協奏曲 op16 第一楽章 グリーグ ナーゴ 10  
ピアノソナタ8番 第2楽章 ベートーヴェン イケダヤスヒロ  8  
小フーガ  BWV578 バッハ ナーゴ 16
主よ人の望みの喜びよ バッハ ナーゴ 11  
ホルン協奏曲 第一番 モーツアルト ナーゴ 12  
無言歌 第3番 フォーレ イケダヤスヒロ  9  
メヌエット ビゼー イケダヤスヒロ  8  
メヌエット ボッケリーニ    9
ユーモレスク ドヴォルザーク ナーゴ 10
別れの曲 ショパン ナーゴ 10

○愛の夢 いい編曲だが手が小さいと苦しい。

○アヴェ・マリア 左手が見た目より弾きにくい、4段2小節目左手のFはFisの間違い。右ページ3段目の装飾音は長前打音です。二つとも4分音符分延ばすとよい(この楽譜を手に取るのは大人の素人という可能性が一番高いと私は思う。だとするならば奏法通りに記譜してあげるのが親切。短前打音で処理してしまう可能性がある)。これと次の曲と編曲者が記載されていない。

○愛のロマンス 和声が通常の伴奏と違うのを気にする人がいるかも知れない。

○アニーローリー 大人向けの編曲。

○エリーゼの為に 原曲をそのまま載せてある。最後の右手ミスプリ、ECHではなくDCHでしょ。この間違いはまずい。多分誰でも知ってるからこれだけでこの本の評価を定められてしまう危険あり。ところで前にも別な本で見たがN.C.とはいかなる意味なのだろうか。数人一応職業音楽家に当たってみたけれど誰一人知らなかった。

○美しき青きドナウ 一応難易度9としましたが、もう少し上手な人が余裕を持って弾く方がいいという感じの編曲。

○英雄ポロネーズ 編曲そのものは悪くないんだけど、そもそもこういう編曲の需要、あるのかしらん。

○楽興の時 右ページ4段2小節目左手最後の音DはDisの間違い。5段目、6段目のフレージングが違うがこれはわざとなのかな(そうだとしたら賛成しない)。

○かっこう これって編曲というの?。装飾音を少し省いただけじゃん。

○革命のエチュード いい編曲だけど、この曲が弾きたい人はこれで満足するのかしらん。

○華麗なる大円舞曲 移調してかえって弾きにくくなった箇所あり。

○カノン 2ページ6段目最初の小節右手1拍目GはBの間違いでしょうね。

○グリーンスリーブス 子供向きではない。

○軍隊行進曲 元々の連弾より難しい。2ページ5段5小節目右手2拍目AECとあるがAGEの間違い。

○月光の曲 これは編曲ではない、ただの移調。4ページ5段3小節目、右手Bのタイが落ちてる。

○結婚行進曲 1ページ最後の小節の左手3連ぷ、繰り返したときは不要(つまり1番かっこと2番かっことの分岐点を1小節間違えてるということ)。

○幻想即興曲 5小節目右手のリズム、ミスプリ。3ページ2小節左手2拍目EはおそらくGの間違い。そもそもこの編曲が弾けるくらいの腕前になっていれば、ショパンの易しい作品で弾けるものはいくらでもある。ピアノの先生としてはこういう編曲そのものが不要であると思う。

○天国と地獄 速さ次第で大分難易度が変わる。

○トッカータとフーガ さわりだけって感じだけど。右ページ3段2小節目右手のEはEsの誤り。

○トルコ行進曲 これも存在理由がよく分からない編曲。オクターブの箇所が弾けるのなら5小節目から原曲通りの3度も弾けると思う。

○ノクターン 編曲そのものは極めて巧み。

○白鳥 最後の右手の16分音符は、一部左手(拍頭の音)を使うと易しい。

○花の歌 難易度が少し上がるが原調のままで編曲して欲しかった(雰囲気が大分変わってしまう、何というのかな、大分庶民的な花になってしまった気がする)。

○ピアノソナタ8番 ハ長調ねえ・・

○ユーモレスク 最初の分散和音が少し気になるが、結構いい編曲です。 

総合評価  A-

 表を見て分かるよう結構推薦マークがついています、これまで調べた中でクラシックの編曲集としては最もいい本です。

 ただし、ほとんどが原曲を忠実になぞった編曲です。中にはただ移調しただけというのもあるし、そもそもこういう編曲自体が不要なのではないかと思われる曲もあります(私としては基本的にこの手の編曲はピアノ曲以外の曲で行ってもらいたい)。

 基本的に大人向きの編曲です。少なくともオクターヴが届かないと無理な曲が多い。大人の生徒で名曲を自分なりに楽しんでいきたいという向きには絶好の本と言えます。 

 苦言を呈したいのは、少々ミスプリが多いこと。

 注意すべきは、指使いが全く記されていない。独習では苦しい可能性があるし、教材として使う分には前もって教師が指使いを記してやるべきでしょう。

 このシリーズの存在自体は以前から知っていたが(相当古い本のはず)、分厚いし、表紙が好みじゃないし、収録曲に本来からのピアノ曲が多数あるということで、真剣に調べたことがなかった。調べてみて嬉しい驚きである。kmpという出版社には今後注目したい。

追)N.C.とはノンコードの略だそうです。kmpの箱崎様から丁寧なメールをいただきました。厚く御礼申し上げます。

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