あるピアニストの一生

ピアノ教材研究 練習曲集 

 

チェルニー50番練習曲 Op.740

チェルニーの練習曲の中でも、最も高度なものに属する。他の練習曲集と同じく「評価」は楽曲としての評価であり、練習曲としての評価ではない。 なお、難易度は指示速度の8割程度の速さで弾いた場合のものであるが、後半の一部、特に3度の練習においてその速さでは至難となるものがある、 それよりさらにいくばくか遅くすることもやむをえまい。
番号 練習目的 難易度 評価
 1 5本の指 21  C
 2 アルペジオ 21  C
 3 右手の5本の指 21  C
 4 重音 22  C
 5 スケールを始めとした両手の動き  22  C
 6 拡張と分散和音 21  B
 7 同音連打 21  C
 8 左手の練習 22  B
 9 跳躍 23  B
10 3度 23  D
11 右手の5本の指 22  C
12 左手の様々な練習 22  B
13 速いパッセージ 22  C
14 分散和音のいろいろな形 22  B
15 拡張 23  C
16 親指の旋回 22  C
17 右手の5本の指 23  B
18 交差 23  B
19 拡張 24  C
20 二重オクターヴ 23  C
21 両手アルペジオ 24  C
22 保持音つきトリル 22  C
23 左の5本の指 22  C
24 右の5本の指 23  B
25 音階を初めとする様々な音型 22  C
26 速いパッセージ 22  C
27 保持音つきトレモロ 24  C
28 左の分散和音的な音の動き 23  B
29 ターン 23  C
30 重音 23  C
31 アルペジオ 23  C
32 和音の連打 24  C
33 オクターヴ 25  B
34 3度トリル 26  D
35 同音連打 23  C
36 アルペジオ 23  C
37 左のアルペジオ 23  B
38 交互オクターヴ 24  C
39 3度 26  C
40 和音 24  C
41 左手の5本の指 23  B
42 二重モルデント 23  C
43 親指の旋回を中心とした右手の5本の指 24  C
44 素早い動き 24  C
45 音域の広い分散和音 22  B
46 アルペジオ 23  C
47 Ges 22  C
48 トリル 23  C
49 オクターヴ 26  D
50 アルペジオを中心とした主に右手の総合練習 24  B

1.両手16分音符になってからが少し難しい。

2.左の練習にもなっている。

4.この曲あたりから、上級という感じがする。脱力がうまくできてない生徒は最後まで通して弾くことが困難だろう。

6.ペダルを使うと結構きれい。

7.難しいとは言えないが、疲労に耐えられるかどうか。

9.ここから第二章。スピードを速くすると激ムズになる。曲としてもなかなかきれい。

10.純然たるエチュード。これはテンポ指示がない。速いと激ムズになる。

12.ニ短調から二長調に転調する。

13.指の回る生徒には難しくはない。むしろ和音の連続をin tempoで弾く方が難しいかも。

15.手首をやわらかく。

17.ここから第三章。指示速度が一段速くなっている。

18.ペダルを使うと楽曲としても通用する。

19.ペダルはなしでもいい。ossiaを使うと少し易しくなる。

20.二重オクターヴそのものは慣れればそれほど困難ではない。

23.左利きの人間ならたやすいだろう。

24.キラキラと輝くように。

25.ここから第4章。チェルニーはシャープやフラットがたくさんあるものは難しいと思っていた節がある。これは実はかなり易しい。

26.仕上げはペダルをつけてもいいだろう。

27.難しいのは疲労がたまるだろうということ。

33.ここから第5章。チェルニーの時代は鍵盤の幅が今より狭く、その分この曲が少しは易しかったと思われる。

34.どうしても指定速度(8割)で弾けない人は、ペダルを使って、右手の指を42,51とする非常手段がないわけでもない。練習曲だけに お勧めはできないが。

35.速い連打は手首を上げてひっかくように弾く。

42.ここから第6章。

43.分散10度の連続がある。

44.スピードを遅くすれば楽勝になるが。

45.ペダルを使うときれい。チェルニーの時代はこういう曲はまだ少なかったのであろう。ロマン派の音楽を学習するとこういうものはさほど難しくは思えなくなる。

47.25と同じ。ショパンを初めとするロマン派を学んでいれば、これは易しい。

48.トリルの数は決めておく方がいいだろう。

総合評価     A-

これは練習曲集としての評価です。

チェルニーの練習曲集の中でも、難易度の高いものです。これを終えてもしくはこの最中にショパンの練習曲に移行する、というのが通常のパターンでしょうか。

チェルニーにしては右手の練習にさほど偏っていません。もちろん右手の練習の方が多いのですが、他の練習曲ほど極端な偏りはないです。

気付くのは、今の我々から見ると微妙に曲の順番がおかしい、つまりチェルニーの時代に考えられていた標準的な難易度は今と微妙に異なるということでしょう。

調号が5つ以上あるもの、ややロマン的色彩感のあるものが後ろの方の番号になっています。しかしロマン派を経たわれわれにとってはそういうものはとくにそれ自体が難しいとはもう受け止められない。従ってその近辺にある他のものより易しい感をあたえます。

逆に、この時代のピアノの鍵盤の軽さの故か、3度やらオクターヴやらは信じられない速度指定になっており、その8割と設定してもほかに比べて各段難しくなり、ほとんど至難というべき難しさになります。

チェルニー自身のテクニックの偏りと見ることも可能でしょうが、時代による偏りと見る方が妥当な気がします。

一曲一曲が長くなっているせいか、楽曲としても通用するものがそこそこあります。

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